りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

2006-12-16から1日間の記事一覧

女子大生会計士の事件簿2・3(山田真哉)

いきなり2巻と3巻を読んだのは、図書館で見つからなかったため。でも短編集だから、どこから読んでもOKでしょう。地味で退屈なことこの上ない「監査のお仕事」ですが、この本の主人公のキャラは強烈です。 現役女子大生でありながら会計士となった「藤崎…

草原からの使者(浅田次郎)

『沙高楼奇譚』の続編です。「青山の秘密倶楽部に集う各界の名士たちが、自らにまつわる数奇なドラマを語りだし、人生の機微と運命の不可思議を綴る連作短篇集」。実は、上の「 」内説明は、本の帯そのまんま。説明文を考える気もおきないくらいの本でした。…

ギャング・オブ・ニューヨーク(ハーバート・アズベリー)

今年も「アビエイター」でアカデミー賞を逃した、スコセッシ監督とディカプリオのコンビで映画化されています。でも、原作読んでみたら、全然違いますね。映画は南北戦争までの数年間に凝縮されたストーリーですが、原作はNYギャングたちの100年間の歴…

影の巡礼者(ジョン・ル・カレ)

スパイ小説は数多くあるけれど、フォーサイスと並ぶ双璧はル・カレでしょう。イギリス情報部内部の「ソ連への内通者」を扱った『スマイリー3部作』や、ショーン・コネリー主演で映画にもなった『ロシア・ハウス』は傑作です。イスラエルとアラブの諜報戦に…

スターウォーズ:偽りの仮面(ジェームズ・ルシーノ)

『闇の狩人』が「エピソード1」の登場人物を紹介する話なら、こちらは「エピソード1」の社会的背景を説明するストーリー。トレード・フェデレーションは、どうして暗黒卿ダース・シディアスにつけこまれるようなことになったのか、どうしてナブー封鎖やナブ…

スターウォーズ:ダース・モール闇の狩人(マイケル・リーヴス)

「スターウォーズ」シリーズには、熱狂的ファンが多いんですね。映画だけじゃ飽き足らなくて、映画と映画の間を繋ぐ「ブリッジ・ノヴェル」とか、映画から派生したストーリーを描く「スピンアウト・ノヴェル」がたくさん出ているようです。本書もその1冊。 …

花散る頃の殺人(乃南アサ)

『凍える牙』で共感を覚えた「女性刑事・音道貴子」。彼女を主役とした短編集があるというので、さっそく読んでみました。短編だから重大な事件や劇的な展開は起きないけれど、その分、彼女の日常的な活動や悩みが描かれています。 「あなたの匂い」では、な…

きみに読む物語(ニコラス・スパークス)

最近映画になったから、タイトルを聞いたことある人も多いでしょう。老いて病む妻に向かって毎晩、夫が語って聞かせるのは、初恋の女性を思い続けた男性のもとに、申し分のない婚約者を振り切って嫁いできた女性の話。それは2人の劇的なラブストーリー。 ア…

メキシコ人はなぜハゲないし、死なないのか(明川哲也)

こういう本も「ファンタジー」って言うのでしょうか? 普通のファンタジーは、少年・少女のイニシエーションを、不思議な世界での体験として描くものが多いのですが、この本の主人公は、ハゲかけた44歳のおじさんなのです。 失意の末に自殺しかけた所をネ…

凍える牙(乃南アサ)

この人の本、「読まず嫌い」で読んだことなかったのですが、どうやら別の作家と間違っていたようです(笑)。直木賞を取ったこの作品、高村薫ばりの警察ミステリーなんですね。 なんといっても主人公・音道貴子のキャラがいい。30台バツイチの女刑事。機動…

死刑判決(スコット・トゥロー)

さすが、他の追随を許さない法廷ミステリーの第一人者の作品です。ハリソン・フォード主演で映画になった「推定無罪」の作者といえば、わかる人も多いんじゃないかな。久しぶりの作品である「死刑判決」も期待を裏切りませんでした。 死刑執行の直前に真犯人…

水滸伝16(北方謙三)

2ヶ月ごとに1巻のペースで出版されています。このシリーズのことを、ここに書くのも4回目。もう、シリーズ全体に関するネタは書き尽くしちゃった。(笑) 前巻では、宋の全力を尽くした攻勢を機略で撥ね返した梁山泊ですが、この巻で展開されるのは決戦に…

星宿海への道(宮本輝)

久しぶりに宮本輝を読みました。『ドナウの旅人』以来か、『優駿』以来か・・そんなもの。この人の本「感動を押し付ける」ような所が鼻について、ある日突然、読みたくなくなってしまったのです。この本も悪くはないんだけど、設定がちょっとあざといかな。…

人のセックスを笑うな(山崎ナオコーラ)

去年の「文藝賞受賞作」。「天賦の文才が宿る。思わず嫉妬したくなる程の才能」とか、「この作品について書くべきことはない。ひたすら楽しかった。」などと選考委員からは大絶賛なのですが、純文学の新人賞なんてこんなもの? 19歳の学生と、美術教師であ…

ふたりジャネット(テリー・ビッスン)

表紙の女性が可愛くて「お洒落な小説?」と思って借りたら、なんとSFでした。河出書房新社から知リーズで出版されている「奇想コレクション」というシリーズの1冊です。 日常世界に空いた「落とし穴」を、ふと覗き込んでみる感覚の短編集。ところが「落と…

ダ・ヴィンチ・コード(ダン・ブラウン)

世界的なベストセラーになった本です。図書館の借り出しで、長いこと待たされました。実は、前作『天使と悪魔』が評判ほどでもなかったので、それほど期待してなかったのですが。 案の定、「謎解き」の部分はさしてスリリングではありませんでした。宗教的秘…

ノーバディーズ・フール(リチャード・ルッソ)

久しぶりに、途中で放り出したくなる本に出合いました(笑)。ほとんど爺さんと婆さんたちの人間関係だけ綴られる、アメリカの田舎町を舞台にした何の事件も起こらないストーリーを、上下2巻延々と読まされます。 主役は、60歳になっても定職も財産も持た…

百年の誤読(豊崎由美、岡野宏文)

タイトルはもちろん『百年の孤独(ガルシア=マルケス)』のパロディ。「ベストセラーが何故ヘナチョコなのか」を解き明かそうと、バリバリの書評家2人が100年間のベストセラー100冊を滅多切り。 名作へのツッコミぶりは読んでいて楽しく爆笑もの。「…

岡山女(岩井志麻子)

『ぼっけえきょうてえ』の続編とも言える、岡山ホラー。ホラーは嫌いなんだけど、つい読んでしまいました。エッセイかと思って借りてしまったのです。 破産して錯乱した旦那に日本刀で切りつけられ、美貌と左目を失った元メカケのタミエは、代わりに霊感を手…

ぼくは悪党になりたい(笹生陽子)

これも、ラナが紹介していた本だったかな。 主人公のエイジは高校生の男の子。「未婚の母」でバリバリのバイヤーのママは、弟の世話をエイジに押し付け、イタリアに買い付け旅行中。家事は得意で、いつもと同じ日常・・のはずだったのに、ママの留守中に突然…

わが手に雨を(グレッグ・ルッカ)

あまり期待しないで読み始めた本が、面白かった時は嬉しいものです。この本も、そんな一冊。 ミムはブレイク寸前のロックバンドのギタリスト。ところがツアー最中に、バンドから追い出されてしまいます。帰宅した彼女は、正体不明の男に襲われたり、インター…

エミリーへの手紙(キャムロン・ライト)

ボブとローラは離婚調停中。そんな中、痴呆が進んでいたハリーおじいちゃんが亡くなった。孫娘エミリーに、意味不明の詩集を残して。 実はその詩集に書かれた言葉が「エミリーへの手紙」という26個のファイルを開くパスワードでした。おじいちゃんは壊れて…

旅する帽子(ロジャー・パルヴァース)

小泉八雲ことラフカディオ・ハーンの日本滞在生活を小説にしたもの。 ハーンは明治中期に来日し、島根県松江の中学で英語教師を務めたあと、ジャーナリストなどを経由して、最終的には東京帝大で英文学教授になっています。この間、松江士族の娘であった小泉…

不祥事(池井戸潤)

さくらっちが紹介してくれた本です。抜群の事務能力を誇るスーパーOL・花咲舞が、銀行を舞台に大活躍。銀行に巣食う「保身主義」と「派閥主義」に戦いを挑む物語。 彼女の仕事は臨店指導。各支店を巡回して、事務に問題があるかどうかの内部調査。表面に現…

ノルウェイの森(村上春樹)

10年ぶりくらいに読んでみました。記憶ってのはあやふやだな。冒頭の、草原での回想シーン。直子は車椅子に乗ってるイメージがあったんだ。彼女、身体が不自由なわけじゃないのにね。 新作『アフターダーク』の感想で「姉妹」について書きましたが、村上春…

謀略上場(クリストファー・ライク)

ニューヨーク証券取引所に上場をもくろむロシア企業。経営者は理想に燃えたロシアの起業家。デューデリ(信用調査)もバッチリで、幹事証券会社も利益を稼げる・・はずだったのですが、実はこの会社、実態がなかったのです。つまりは大掛かりな詐欺。 さらに…

アフター・ダーク(村上春樹)

~ん、これは村上春樹さんの新境地なんでしょうか。 『ねじ巻き鳥』や『ワンダーランド』に出てくる優柔不断男。よく批判したものの、個人的には結構好きでした。前作『カフカ』あたりから、主人公がたくましくなってきています。 本書に出てくる男性は、ご…

ローマ人の物語13「最後の努力」(塩野七生)

毎年1巻ずつ15巻まで刊行される、塩野七海さん渾身の大シリーズ。最初は15年なんて気の遠くなるほど未来に思えたのに、ついに13巻まで来てしまいました。いよいよ、ローマ帝国の終焉に向けてラストスパート。 今回は「最後の努力」とのサブタイトルで…

停電の夜に(ジュンパ・ラヒリ)

去年の暮れに読んで私的には大絶賛だった『その名にちなんで』の作者、ジュンパ・ラヒリさんの短編集。デビュー作だそうです。 タイトルになっている「停電の夜に」。妻の流産を境にして、微妙な関係になってしまった若夫婦の話。 5日間続く停電の夜、秘密…

痕跡(パトリシア・コーンウェル)

検屍官「ケイ・スカーペッタ」シリーズの最新作です。そう、このシリーズもずっと読み続けていたのでした。 ところが、1年前に出版された、前作「黒蝿」はアレッて感じ。ケイは若返っちゃってるし、死んだはずの恋人ベントンは実は生きていたし、その前の事…