りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

水滸伝16(北方謙三)

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2ヶ月ごとに1巻のペースで出版されています。このシリーズのことを、ここに書くのも4回目。もう、シリーズ全体に関するネタは書き尽くしちゃった。(笑)

前巻では、宋の全力を尽くした攻勢を機略で撥ね返した梁山泊ですが、この巻で展開されるのは決戦に備える両勢力の暗闘です。梁山泊と宋はだんだん似てきているように思えます。梁山泊も戦いに勝つためには色々な手段を講じるし、宋だって危機に瀕すれば自浄作用が働き始める。大組織になるに連れて梁山泊の豪傑たちの魅力も減っているようだし、宋のエリート官僚たちの陰謀も凄みがなくなってやしませんか?

と思っていたら、この物語に深みを与えてくれた重要なキャラであった宋の情報機関トップの袁明が、梁山泊に暗殺されてしまいます。彼は、官僚としてのキャリアを始めた頃に王安石の薫陶を受けて「理想の国家論」を胸に秘めた「体制内改革派」でした。彼の死によって、ストーリーは急展開していくのかもしれません。

毎回言ってるけど、この話は終わらせ方が難しい。壮大な構想で始まった北方水滸伝は、どう決着するのでしょうか。そろそろ結末に向けての助走開始でしょうか。

2005/3