江戸時代の火消群像絵巻である「羽州ぼろ鳶組シリーズ」初の外伝です。本編で脇役だった者たちは、どのようなドラマを持っているのでしょう。
「流転蜂」
シリーズ第6巻『夢胡蝶』で闇落ちした元火消の「天蜂」こと鮎川転が、島送り先の八丈島で人生をやり直す物語。一度は火消稼業を捨てた鮎川でしたが、島を襲った山火事を防ぎ留め、逃げ遅れた子供の救出に乗り出すのでした。江戸で待っている千春のもとに帰れる日も遠くないのかもしれません。
「恋大蛇」
上方で起こった放火事件を題材とした『鬼煙管』と『双風神』で活躍した京の定火消・淀藩の野条弾馬が主人公。彼が、かつて店火消を務めていた緒方屋の娘・紗代との縁談を断り続けている理由は何だったのでしょう。そして焔と対峙する恐怖心を抑えるため、浴びるように飲んでいた酒と縁が切れる日は来るのでしょうか。
「三羽鳶」
本編で活躍する黄金世代に凄いメンバーが揃っているだけに、下の世代は少々影が薄いのは仕方ありません。それでも若い者たちも育っているのです。仁正寺藩の「凪海」柊与一、町火消め組の「銀蛍」銀二、け組の「医師」らが「銀波の世代」との異名を得た事件が綴られます。しかし自殺志願者を集めて焼死させる商売とは・・。
2024/9