『凍える牙』で共感を覚えた「女性刑事・音道貴子」。彼女を主役とした短編集があるというので、さっそく読んでみました。短編だから重大な事件や劇的な展開は起きないけれど、その分、彼女の日常的な活動や悩みが描かれています。
「あなたの匂い」では、なんと貴子自身がストーカーに狙われてしまいます。犯人はあっさりつかまりますが、それがまた署内で話題になってしまい、彼女は当惑。
「花散る頃の殺人」では老夫婦の無理心中事件を通して、長年連れそう夫婦の姿に考え込む貴子。久々の特別捜査で貴子を特別扱いする臨時のパートナーに「あたしはバカでもなければ素人でもない!」と憤慨する姿は前作通りの彼女。
「雛の夜」では、エンコーする女子高校生が連続して襲われる事件の捜査過程で、年下の世代との隔たりを感じるとともに、母親になることを考えてしまう彼女がいます。
全部で6編ですが、あとは省略。シリーズで『鎖』という長編もあるとのこと。
2005/3