りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

わが手に雨を(グレッグ・ルッカ)

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あまり期待しないで読み始めた本が、面白かった時は嬉しいものです。この本も、そんな一冊。

ミムはブレイク寸前のロックバンドのギタリスト。ところがツアー最中に、バンドから追い出されてしまいます。帰宅した彼女は、正体不明の男に襲われたり、インターネットに盗撮写真がばら撒かれたりして、もうボロボロ。さらに、15年前に母を殺して懲役に服していた父が出所した直後に兄が殺されてしまい、ミムも容疑者に。

不愉快なことに、ミムの事件がセンセーショナルに報道されると、バンドの新曲はヒットチャートを駆け上がっていきます。これは誰かの謀略なのでしょうか。

現在の事件を解決する過程で、15年前の事件の真相も明らかになっていきます。そして本書は、「嘘をつくのに慣れすぎて、何が嘘かもわからなくなってしまっていた」ミムが、自分を取り戻していく物語でもあるのです。

本書を面白く読めた理由は、ミムに共感できたから。「もう自分に嘘はつくまい」とアルコールに溺れる日々に決別するミムが、やけにカッコよく見えるんですね。私の潜在意識が、そういうキャラにあこがれてでもいるのでしょうか?

2005/2