りぼんの読書ノート

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ギャング・オブ・ニューヨーク(ハーバート・アズベリー)

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今年も「アビエイター」でアカデミー賞を逃した、スコセッシ監督とディカプリオのコンビで映画化されています。でも、原作読んでみたら、全然違いますね。映画は南北戦争までの数年間に凝縮されたストーリーですが、原作はNYギャングたちの100年間の歴史を描いた実話です。

「デッド・ラビッツ」というギャング団は実在。ダニエル・ディ・ルイスが演じた「ビル・ザ・ブッチャー」というギャングも実在したようですが、ディカプリオが演じた「アムステルダム青年」は影も形もありません。映画は、この本から枠組みを借りたオリジナルストーリーですね。

南北戦争前後のNYは、世界一ギャングの多かった街のようです。アイルランドをはじめとするヨーロッパ諸国から際限なく入植してくる食い詰めた移民は、みんなギャング予備軍。彼らを政治家たちが取り込む構図は、映画でも描かれていました。

ところでギャングたちが目の敵にしていたのは黒人です。底辺の仕事を奪いあうライバルだったことに加えて、「奴隷解放」を謳った南北戦争への徴兵に耐えられなかったから。NYの「徴兵暴動」は大規模で、南北戦争終結を遅らせたと言われています。映画のクライマックスも「徴兵暴動」でしたが、ディカプリオが親の敵を討つストーリーと交錯してわかりにくかった記憶があります。

ところで、大規模なギャング組織がなぜ消滅したのか。それは、市民がギャングと関係ある政治家を落選させたため。警察が政治家に遠慮せずに取り締まれるようになったためだそうです。最後は市民パワーなのですね。

2005/3