りぼんの読書ノート

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コールドマウンテン(チャールズ・フレイジャー)

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だいぶ前に映画で見たのですが、原作は未読でした。南北戦争末期、戦争で引き裂かれた恋人たちが再会を目指す物語。映画のキャストは、ジュード・ロウとニコル・キッドマンでしたね。

ピーターズバーグの戦いで首に銃弾を受け、瀕死の重症を負った南軍兵士のインマンは、野戦病院を脱走して恋人エイダの待つ故郷「コールドマウンテン」を目指して歩きはじめます。地図で確認してみると、踏破した距離は約700km。例えて見ると、鳥羽伏見の敗残兵が、故郷の会津若松まで徒歩で向かったようなものでしょうか。むしろ映画でイメージしたのは、SF的な文明崩壊後の世界だったのですが。ともあれ脱走兵という困難な立場で、険しいアパラチア山脈、荒廃した人心、乏しい食料に苦しむ旅は、もはやサバイバル状態なのです。

エイダもまた、サバイバルに苦しんでいました。チャールストンの都会育ちのお嬢様が、父親を失って荒廃した農場の立て直しをしなくてはならないのですから。しかし彼女には、ルビーという指南役がついてくれたのです。レネー・ゼルウィガーは、この役でアカデミー助演女優賞を獲得しています。

一歩ずつ歩み続けるインマンと、生活の知恵を学んでいくエイダの姿が交互に描かれていき、いよいよラス前の最後の試練・・という展開なのですが、結果は言うまでもありませんね。むしろそれぞれ苦難を経て逞しく変貌した恋人に、かつての魅力を感じることができるのだろうか、という点が気になってしまいました。ドラマティックなラブストーリーに水を差すような、余計なお世話なのですが。

2018/8