りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

2007-01-01から1ヶ月間の記事一覧

図書館内乱(有川浩)

この本、シリーズの「2作め」なんだそうです。第1作である『図書館戦争』があることを、知らずに読んでしまいました。だから、なんて説明が少ないストイックな叙述なんだ・・と感心してしまったのです。でも説明過剰になるよりも、そのくらいでいいかもし…

白川静さんに学ぶ 漢字は楽しい(小山鉄郎)

宮城谷昌光さんの中国古代に題材を得た小説には、ところどころに白川静先生の学説に基づく漢字の説明が紹介されています。『字統』、『字訓』、『字通』などの大作には、とうてい手が出せないけど、コンパクトな小冊子が出版されたので、さっそく読んでみま…

コーデックス(レヴ・グロスマン)

英国の伯爵家の依頼で、蔵書を整理することになったエドワード。そこには14世紀に書かれた幻の古写本があるはずというのですが、図書館で偶然知り合った中世学専攻の女子学生マーガレットからは、その本は有名な偽書と言われてしまいます。どうやら古書の…

2006/12 ぼくと1ルピーの神様(ヴィカス・スワラップ)

読書ノートをつけ始めてから、2年半がたちました。500冊を超えてるってことは年間200冊。こんなに本を読んでたんだ。自分が一番驚いています。 12月は、いわゆる第三世界の文学の良書に巡りあいました。インド、中国、コロンビア・・。私にとっての…

2006/11 風が強く吹いている(三浦しをん)

11月は「陸上競技を題材にした小説」が印象に残りました。「走る」ことは「風」を意識することなんですね。 フランス王室の裁判をテーマにした2冊も良かったけれど、どちらも再読だった分、ランクを落としてみました。 1.風が強く吹いている (三浦しを…

2006/10 テヘランでロリータを読む(アーザル・ナフィーシー)

10月は、「本を読むこと」について色々考えさせられました。小説を「書き手と読み手の闘争の場」とする佐藤亜紀さんからは、「読むこと」の厳しさに身が引き締まる思いをさせられましたし、監視社会のテヘランで「女性だけの読書会」が開かれていたとの事…

2006/9 ミーナの行進(小川洋子)

9月は、いい本にたくさんめぐり合えました。次点にあげた4冊を含めて、どの本にも優劣つけがたいのですが、「本に対する愛情」が前面に出されている2冊を上位にしてみました。「ストーリーのおもしろさ」や「環境への警告」とかで括ると、また、別のセレ…

2006/8 ゲド戦記(ル=グィン)

8月は、東西の良質なファンタジーを読むことができました。『ゲド戦記』と『空色勾玉』では、知名度に雲泥の差があるけど、底に流れる歴史観や死生観では、荻原さんも負けてはいない。想像だけで、ひとつの世界を作り上げてしまうファンタジーの中には、結…

2006/7 ケッヘル(中山可穂)

7月は、たくさん読んだのに、「これ」という大当たりはなかったな。角田光代、伊坂幸太郎、五十嵐貴久などの売れっ子作家の本も、以前に読んだ作品ほどインパクトを感じさせてはくれませんでした。イシグロさんの2冊だって、先月の『わたしを離さないで』…

2006/6 わたしを離さないで(カズオ・イシグロ)

読書ノートをつけはじめてから2年が経ちました。こんなにたくさん読んでいたことに、自分が驚いています。もっと早く始めていれば良かったな。 6月は「有限の人生」を意識させてくれる本が上位に来ました。必要なのは「誠実に日常と向き合う勇気」というこ…

2006/5 雪(オルハン・パムク)

いつも上位に重めの本を選んでしまう傾向がある。これは、はっきりいって「格好つけてる」からだろうな(笑)。インパクトの大きかった順に並べてるつもりですが、本当に楽しめた本を選ぶと、別のランキングになるのかもしれません。^^; 次点には、全く雰…

2006/4 マオ(ユン・チアン)

4月の読書は『マオ』が全て。「事実」の持つ圧倒的な迫力に、フィクションは勝てませんでした。最後に読んだ「チョコレートコスモス」は楽しめましたけどね。 1.マオ (ユン・チアン) 『ワイルド・スワン』の著者が10年を費やし『毛沢東神話』を暴きま…

2006/3 イン・ハー・シューズ(ジェニファー・ウェイナー)

3月は、海外の文学が上位に並びました。内容やジャンルはもちろん、読後感も、それぞれ全く異なるけど、日本の小説では味わえないテイストです。 この際なので、Best5を全部海外文学にしてしまいました。本来ならランクインだった、畠中さん、水田さん、加…

2006/2 沼地のある森を抜けて(梨木香歩)

2月の前半は冴えなかったけど、後半は一気に充実。図書館にリクエストしていた本が、続々到着したのです。一方で、図書館の本を電車に置き忘れて紛失するという失態も。^^; 結局出てこなかったので、書店で買って返却しました。 1.沼地のある森を抜け…

2006/1 新リア王(高村薫)

1月の読書は充実してました。大好きな作家の新作も読めたし、普段手に取らないようなジャンルでの「アタリ」があったのも嬉しい。ここに挙げるのも、5冊じゃ足りないくらいです。^^ 1.新リア王 (高村薫) 『晴子情歌』の続編です。政治という荒野をさ…

2005/12 対岸の彼女(角田光代)

12月は、良かった本とそうでなかった本が、両極端でした。「対岸の彼女」はストンと心に落ちてくれた本だけど、4位にあげた「十面埋伏」が描いた、中国政官界の腐敗が凄かった。実際には、もっと凄いことになっていそうですが・・。 1.対岸の彼女 (角…

2005/11 蕨野行(村田喜代子)

11月には久しぶりに林真理子を2冊読んでしまいましたが、この後味の悪さは、むしろさすが。でも、Best5には入れられないかな。かえって、林真理子と交互に読んだ伊坂幸太郎の爽快感が際立ちました。今月は珍しく、日本の作家ばかり。 1.蕨野行 (村田喜…

2005/10 憲法はまだか(ジェームズ三木)

10月は、順番をつけるのが申し訳ないくらいに、いい本にたくさん出会いました。2位と3位は、電車の中で読んでいて、涙ぐんでしまった本。でも、あえて1位は、今ホットな話題の『憲法』にしました。 1.憲法はまだか (ジェームズ三木) 10日間で憲法…

2005/9 ロズウェルなんか知らない(篠田節子)

9月は期せずして、村おこし/街の再生の話が2件、Best5入りです。田舎の過疎化は止まっていないし、大手スーパーはつぶれるし、高齢化社会が到来している今、ますますホットな話題なのでしょう。 次点の2作は、どちらも人気シリーズの続編。2人とも相変…

2005/8 人が見たら蛙に化れ(村田喜代子)

8月は日本の作家の作品が上位に入りました。物語のおもしろさを楽しめた本が多かったかな。 1.人が見たら蛙に化れ (村田喜代子) 「他の人が見たらただの蛙でも、自分なら価値を見出せる」と信じ、骨董品にとりつかれた3組の夫婦が、お宝を探して東へ西…

2005/7 天使 & 雲雀(佐藤亜紀)

今月から、5冊選ぶことにしました。いい本がたくさんあって、ランキングつけるのも一苦労です。その中でも、佐藤亜紀さんとの出会いは、今年の大きな収穫でした。 大好きな『後宮小説』がランク外なのは、再読だから。 1.天使 & 雲雀 (佐藤亜紀) 佐藤…

2005/6 ミドルセックス(ジェフリー・ユージェニデス)

1位の『ミドルセックス』は、『私の名は紅(あか)』や『その名にちなんで』とならんで、年間ランキングでも上位に入る傑作です。伊坂幸太郎さんとの出会いも、今月のトピックスですね。 1.ミドルセックス (ジェフリー・ユージェニデス) 両性具有の少女…

2005/5 半島を出よ(村上龍)

村上龍は嫌いです。彼の「破滅へのパッション」からは、混乱しか生まれないと思うのです。でも『半島を出よ』には、その発想の奇抜さと大胆な展開に脱帽です。 次点の2作品は、芸術作品の由来に想像をはばたかせた美しい小説。 1.半島を出よ (村上龍) …

2005/4 前田建設ファンタジー営業部

今月の1位は、小説じゃないけれど、立派なフィクション。大真面目に、アニメの建造物を作るための科学的検討や、見積もりを取るという発想が素晴らしい! 第2回のプロジェクトは、「銀河鉄道999の発射台」だそうです。^^ 1.前田建設ファンタジー営…

2005/3 ダ・ヴィンチ・コード(ダン・ブラウン)

『ダ・ヴィンチ・コード』の評判は、さまざまですね。『薔薇の名前』+「シドニー・シェルダン」とか言われていますが、そんな域には達していないでしょう。でも、読後感だけは、めちゃめちゃいいのです。^^ 1.ダ・ヴィンチ・コード (ダン・ブラウン) …

2005/2 停電の夜に(ジュンパ・ラヒリ)

村上春樹さんを久しぶりに読み返してみました。彼の小説の凄さは、その後、彼の後継者としてぞくぞく登場した「純愛作家たち」と比べてみて、理解できるものかもしれません。 1.停電の夜に (ジュンパ・ラヒリ) 『その名にちなんで』の作者のデビュー作で…

2005/1 わたしの名は紅(オルハン・パムク)

トルコを代表する作家・オルハン・パムクが描く、東洋と西洋の出会い。こんなに水準が高くて、こんなにおもしろい小説はめったにない!年の始めから今年のイチオシ作品に出会いました。 1.わたしの名は紅 (オルハン・パムク) ルネッサンス絵画に出合った…

2004/12 その名にちなんで(ジュンパ・ラヒリ)

移民の小説って、どうしてこんなに心を打つのでしょう。誰でも感じる「現実の世界へのとまどい」に常にダイレクトにさらされながら、新しい社会と文化に根を張っていこうとする力強さを感じさせてくれるのが、移民の人たちだからなのでしょうか? 『その名に…

2004/11 妹とバスに乗って(レイチェル・サイモン)

11月のベストは、文句なしに『妹とバスに乗って』。知的障害を持つ妹と、きっちり向き合った姉が綴った実話です。それ以外にも、記憶に残る本がたくさんありました。 1.妹とバスに乗って (レイチェル・サイモン) レイチェルは軽度の知的障害を持つ妹に…

2004/10 オウエンのために祈りを(ジョン・アーヴィング)

やっぱり小説は、ストーリーが面白くなくちゃね。^^ 今月は、楽しく読めた本がたくさんありました。 1.オウエンのために祈りを (ジョン・アーヴィング) 稀代のストーリーテラーが描いた奇跡の話。小川洋子さんが「大人が泣ける」として紹介していまし…