りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

2006/1 新リア王(高村薫)

1月の読書は充実してました。大好きな作家の新作も読めたし、普段手に取らないようなジャンルでの「アタリ」があったのも嬉しい。ここに挙げるのも、5冊じゃ足りないくらいです。^^
1.新リア王 (高村薫)
『晴子情歌』の続編です。政治という荒野をさまよう老代議士と、悟りを求めて出家した息子との、奇妙にかみ合った長い対話の果てに訪れる、深い感動。日本型保守政治に内在する病巣までを抉り出すかのような、渾身の一冊。

2.カポネ (佐藤賢一)
フランスの歴史に題材を求めることの多い著者が描いた、カポネとネス。カポネに大悪役ぶりに比べると、しょせん小物のエリオット・ネスが、どうして自分をヒーローとした『アンタッチャブル』を書いたのか。佐藤さん独特の、自問自答するかのような語り口は健在です。

3.ハルカ・エイティ (姫野カオルコ)
81歳にして、なお輝きを失わないハルカお婆ちゃんの一代記。普通の女性が、時代の中で普通に生きていく話なのに、楽しい。誰の人生でも、ドラマなんだよなぁ、きっと。母の物語をじっくり聞いてみたくなりました。小説に仕上げてあげようか。^^

4.ダイブ1~4 (森絵都)
ピデコが紹介してくれた本。「飛び込み」競技でオリンピックをめざして戦う少年たちが、それぞれ悩みながらも、技術も心も成長していく様子がドラマチック。マイナー競技の「飛び込み」だけど、観戦してみたくなりますね。

5.神の手 (パトリシア・コーンウェル)
過去の事件を国際的陰謀の視点から再構築を試みていた、最近の数作はつまらなかったけど、昔のおもしろさを取り戻したかな。15年に渡って書き続けられているスカーペッタ・シリーズ。図らずも、女性の社会進出などのアメリカ社会の変化まで映し出してくれています。



2006/2/2