りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

#毎月のベスト本

2021/3 Best 3

1.ライフ・アフター・ライフ(ケイト・アトキンソン) 事故や病気、犯罪や戦争の犠牲者となるたびに何度も生まれ変わって人生をやり直す女性は、不慮の死を避けて生き延びることを覚えていきます。しかし人生の目的とは、長く生きるだけなのでしょうか。よ…

2021/2 Best 3

現代は、ポピュリズムによって生み出され、ネットによって増幅される新たな分断の時代なのでしょうか。新型コロナという全人類にとっての災厄ですら、分断を広げる方向に働いているように思えます。そんな時には、過去に何度もあった分断の時代の中で、静か…

2021/1 Best 3

巨匠ル・カレさんの2作品、現役感バリバリでブリグジットを扱った『スパイはいまも謀略の地に』と、創作の秘密を垣間見せてくれた自伝的小説『地下道の鳩』は、どちらも素晴らしい作品でした。今月は良い作品にたくさん出会えたのですが、どれもめちゃくち…

2020 My Best Books

2020年に読んだ本は268作品。コロナ禍で家に籠っていた時間も長かったのですが、2度の引っ越しがあった前年よりも減ってしまいました。むしろ実生活が多忙なほうが読書にも気合が入るのかもしれません。今年も最後に1年を振り返っての「ベスト本」…

2020/12 Best 3

1.銀河鉄道の父(門井慶喜) 国民的詩人とも評される宮沢賢治の父親には「賢治の進学や創作に反対した人物」という印象を持っていました。しかし徹底した調査に基づいて父親目線で描かれた本書は、そんな人物像を鮮やかに覆してくれました。彼は浮世離れし…

2020/11 Best 3

1.あの本は読まれているか(ラーラ・プレスコット) 冷戦時代にCIAが、ソ連では出版禁止となっていた『ドクトル・ジバゴ』をソ連国内に流布させようとするプロパガンダ作戦を行っていたとは驚きました。公表された僅かな事実を膨らまして描かれた本書で…

2020/10 Best 3

現代中国の小村、戦後のスペイン・バスク地方、19世紀の英国、平安時代の日本と、異なる時代の異なる国々を描いた作品が上位に並びました。どれも社会問題に鋭く切り込みつつ、ストーリー展開も楽しめる作品です。小説世界ではベルリンにも、スウェーデン…

2020/9 Best 3

今更ながら堀田善衞さんの作品を読みふけっています。これまで大著『ゴヤ』と『ミシェル城館の人』しか読んでいなかったのですが、『路上の人』を読んで彼の著作が持つ熱量を理解できたせいかもしれません。今月1位とした『若き日の詩人たちの肖像』の熱量…

2020/8 Best 3

堀田善衞氏の著作は、かなり前に『ゴヤ4部作』を読み、数年前に『ミシェル 城館の人』を読んだにとどまっていましたが、『路上の人』は感動的でした。国家や教会という権力に向って、身ひとつだけで対峙する人物の覚悟が、ひしひしと伝わってきたのです。今…

2020/7 Best 3

展開が冗長だったのでベストには選びませんでしたが、「ドン・キホーテの頭を狂わせた中世騎士道物語」として有名な、16世紀のスペインで出版された『アマディス・デ・ガウラ』を読みました。秘められた出生、貴種流離、想い姫に捧げた純愛、見知らぬ土地…

2020/6 Best 3

緊急事態の外出自粛は耐えられるけれど、図書館の長期休館は辛い。6月にアップしたレビューは5月に読んだ本が大半ですが、休館前に急いで借り出した大作と、近くのブックオフで大量購入した100円均一本の両極端です。 1.ヒア・アイ・アム(ジョナサン…

2020/5 Best 3

今月の1位は、日本小説界界に西洋歴史文学等というジャンルを切り開いた著者による『ナポレオン3部作』。さすがの安定感ですが、少々文体を変えたでしょうか。ジャン=クリストフ・グランジェの新作も読み応えありましたが、大きな収穫は日本SF界を担う高…

2020/4 Best 3

パオロ・ジョルダーノさんの真摯なエッセイ『コロナの時代の僕ら』が緊急出版されました。ネットで無料先行配信されていたので、読んだ人も多いのではないでしょうか。母国イタリアの混乱の中でに人々の関わり方が決定的に変わってしまったことを悲しみなが…

2020/3 Best 3

3月は「脱出」の物語を多く読みました。1位とした『西への出口』やノンフィクションの『シリア』は現代の中東難民の物語であり、2位とした『地下鉄道』は独立戦争前の南部から北部へと脱出をはかる少女の物語。3位とした『何があってもおかしくない』や…

2020/2 Best 3

1.国宝 青春篇・花道篇(吉田修一) 歌舞伎の名女形として人間国宝となった人物の一代記は、作家生活20周年の節目を迎えた著者渾身の大作でした。長崎の任侠一門に生まれた主人公の喜久雄は、抗争で父を殺害された後に大阪歌舞伎の女形に入門。御曹司界…

2020/1 Best 3

今月の第1位は文句なしに、現代アメリカを代表する巨匠リチャード・パワーズの4年ぶりの新作『オーバーストーリー』。その一方で強力なインパクトを残したのがディストピア小説です。男性が支配する社会で女性が味わってきた恐怖を立場を変えて描いた『パ…

2019 My Best Books

2019年に読んだ本は272作品。例年より少ないのですが、2度の引越しなど生活環境が激変したことを思うと、健闘したほうかもしれません。今年も最後に1年を振り返っての「ベスト本」を選んでみました。 ・長編小説部門(海外):『ピュリティ(ジョナ…

2019/12 Best 3

今月の収穫は、深緑野分さんという作家を知ったこと。ジャンルとしてはミステリなのでしょうが、独特の作品世界を創り出す能力を有する方とお見受けしました。次点にあげた『ぼくらが漁師だったころ』は、少年の不思議な体験とナイジェリアの現代史を重ね合…

2019/11 Best 3

10月には今年2度目の引越しがあったため、読書量が減っています。今年春の長距離移動と比較すると、市内移動で済んだ今回はまだ楽だったのですが、新居内での片付け作業量は一緒ですね。それに加えて実家の水害。ごみ捨て作業が果てしなかった・・。そん…

2019/10 Best 3

10月にアップしたレビューの大半は、9月の旅行の際に読んだ本のもの。念願の長期欧州旅行に行ってきたのです。古本屋の安価文庫本を買い入れておき、片っ端から読み捨ててくるのですが、いつもより軽めの本ばかりになってしまいますね。ただし上位2冊は…

2019/9 Best 3

8月中旬から「はてなブログ」に引っ越してから1月以上がたちましたが、まだレビュー記事をアップするのに精いっぱいで、目次や索引にまで手が回りません。そんな中ですが今月は、ノンフィクションに素晴らしい作品が多かった印象です。 1.アウトサイダー…

2019/8 Best 3

8月12日に、はてなブログに引っ越してきました。まだリンクの張り方もよくわかっていないし、過去記事の検索すら思うようにできない状態です。膨大な目次システムをどうメンテしていけばよいのか、途方に暮れています。 1.声の物語(クリスティーナ・ダ…

2019/7 天冥の標10.青葉よ豊かなれ Part 3(小川一水)

「YAHOOブログ」から「はてなブログ」に引っ越す予定ですが、索引の修正が大変そう。少し読書ペースを落としてでも、新しいブログに手を入れなくてはいけないのかもしれません。 1.天冥の標10.青葉よ豊かなれ Part 3(小川一水) 全宇宙的な対立軸…

2019/6 雲上雲下(朝井まかて)

いつどこにブログ移転をしたら良いのか、まだ決断がつきません。読書レビューを書いていても落ち着かない日々が続いています。 1.雲上雲下(朝井まかて) 深い山の中、自分の正体も忘れ去った巨大な草が、突然現れた子狐の依頼で物語を語り始めます。民話…

2019/5 郝景芳短篇集(ハオ・ジンファン)

7年近い大阪生活を終えて、東京に戻ってきました。正しくは千葉ですけれど。吹田市の図書館にはたいへんお世話になりました。あらためて浦安市の図書館にお世話になります。リアルの引越しも大変でしたが、ブログの引越しをどうしたらよいか、まだ悩んでい…

2019/4 ゲームの王国(小川哲)

今月は「ディストピア小説の嚆矢」と言われる『一九八四年』をはじめとして、オーウェルの思想を発展させた作品を多く読みました。ウィンストン・スミスが最後には洗脳されてしまったように、真に恐れるべきは「監視社会」よりも「自意識の喪失」なのでしょ…

2019/3 熱帯(森見登美彦)

今月の読書を振り返るより、Yahooブログが閉鎖されるというニュースにショックを受けています。15年かけて4000冊近く書き溜めたレビューを移転しても、苦労して維持している索引機能は失われてしまうし、何よりブログ人口が減っている中で移転先だって…

2019/2 アグルーカの行方(角幡唯介)

年末年始の読書量が少なかったせいで、2月にアップしたレビューは低調でした。そんな中でも今月の収穫は、角幡唯介さんという現代の冒険家を知ったこと。秘境の名にふさわしい地域が激減した今日においてもまだ、未踏査とされる地域は残されているのですね…

2019/1 恥辱(J・M・クッツェー)

「今年もたくさん読むぞっ!!」などとメッセージを書いてしまったのに、年末年始休暇の間にほとんど読書が進みませんでした。特に忙しかったわけでも、疲れていたわけでもないのですが、何となく気乗りしなかったのです。おかげで箱根駅伝をじっくり見てし…

2018 My Best Books

今年も最後に1年を振り返っての「ベスト本」を選んでみました。 長編小説部門(海外) 悪童日記(アゴタ・クリストフ) 国境の街で戦時を生きびた双子の少年を描いた、30年以上前に刊行された作品ですが、今読んでも感動的です。著者の自伝的な体験に隠さ…