りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

2007-01-01から1ヶ月間の記事一覧

2004/9 ベルカント(アン・パチェット)

再読でしたので次点にしか入れていませんが『風車祭(カジマヤー)』は最高! この人の沖縄小説は、破天荒な設定にもかかわらず、「生きる」ということの意味を考えさせてくれます。 1.ベルカント (アン・パチェット) この本の下敷きになったのは、ペル…

2004/8 女たちのジハード(篠田節子)

今も昔も、女性が自立して生きるのは難しい。でも、頑張る彼女らの生き方には感動を覚えるのです。 1.女たちのジハード (篠田節子) 働く女性たちの一生懸命ストーリー。出版されてから10年もたっていないのに、とっても古く感じる。 みんな、嫌なとこ…

2004/7 半身(サラ・ウォーターズ)

読書ノートをつけはじめて1ヶ月。毎月の纏めに、ベスト本の紹介をつけてみることにしました 記念すべき第1回目の第1位は、新進気鋭のサラ・ウォーターズ! 1.半身 (サラ・ウォーターズ) 本来はひとつであった存在が引き裂かれ、一旦出会ったら運命的…

2004/6以前

読書ノートをつけはじめたのは2004年7月からですが、もちろんその前にも、たくさん本は読んでいます。でも時間を遡って読書ノートをつけられるものではありません。絶対に無理! ただ、あるネットサークルの「書名しりとり」に、数冊の紹介を書きました…

あなたのTシャツはどこから来たのか?(ピエトラ・リボリ)

あなたのTシャツから世界政治・経済・歴史が見えてくる!? 2005年の「全米最優秀学術書」に選ばれた本です。 私たちの着ているTシャツは、グローバルな自由市場経済体制のもとで中国の貧しい女工を搾取することによって、生産されたものなのでしょう…

銀の犬(光原百合)

あるステキなブログで推薦されていた本です。ケルト伝説とトールキンの世界をベースに描かれた、愛の物語。 世界のはじまりは音楽で(このあたりがトールキンですね^^)、妙なる調べの中にこそ世界の秘密は潜んでいるという前提の下、声を失った「祓いの楽…

美術愛好家の陳列室(ジョルジュ・ペレック)

読み終えましたが「読了」と言えるのかどうか? なぜなら、本書の大半を占めている絵画と来歴の部分について、何が真実で何がでっちあげなのか、さっぱりわからなかったのです。 ラフケという美術愛好家が、画家・キュルツに描かせた一枚の絵画。それは彼の…

ベルカ、吠えないのか?(古川日出男)

何を言いたいのかさっぱりわからないけど、面白いことは面白い。「戦争の世紀」である20世紀を、太平洋戦争中に日本軍が撤収したアリューシャンのキスカ島に残された4頭の軍用犬にはじまる「イヌたちの世紀」として描くのです。「うぉん」。^^ 最初の4…

キングの死(ジョン・ハート)

「スコット・トゥローの再来」と激賞されたそうです。その呼び名に恥じない、読み応えのある本でした。 射殺された弁護士の息子に殺人の容疑がかけられます。やはり弁護士である息子のワークは、父を憎んでいた妹が犯人ではないかと思いこみ、彼女を護るため…

ウルトラダラー(手嶋龍一)

「ドキュメンタリー・ノヴェル」とのことですが、個々の情報は前NHKワシントン支局長である著者のアンテナが拾いあげたものかもしれません。それらを総合して作り上げた「仮設」が未検証ということなのでしょう。 いかにも、ありそうな話なのです。 ・3…

ゲド戦記5 アースシーの風(ル=グィン)

「思想が、ファンタジーを台無しにした」などと、一部の読者からは酷評されることもある第5巻です。でも、この1冊が、シリーズ全体の価値を高めていますね。「ファンタジーを超えた」というのが正当な評価でしょう。 第4巻からは、さらに15年がたってい…

ねこのばば(畠中恵)

妖怪に守られている超虚弱な若旦那が江戸を騒がす怪奇な事件を次々に解決していく『しゃばけ』シリーズの第3巻です。シリーズ5巻まで出ていて、さすがに第1巻は最初に押えたものの、これ、グチャグチャの順番で読んじゃったんだ。^^; シリーズになって…

世界の歴史2「古代ギリシアとアジアの文明」(J.M.ロバーツ)

「世界史を学び直そう」キャンペーンの第2巻。第1巻では、「人類の誕生」という長い先史時代を経て誕生した古代メソポタミアとエジプト文明が、紀元前1000年を境に周辺民族の大移動によって相次いで滅亡に至る過程がテーマでした。 第2巻は、他の古代…

虚子とホトトギス(秋尾敏)

散文ばかり読んでいる私には俳句なんて遠い世界ですが、現代が俳句と句誌にとって大変革が求められている時代となっていることは、感覚として理解できます。外国語で詠まれる「Haiku」にどう向き合うのか。ネットや携帯という新しいメディアをどう取り込むの…

コンタクト・ゾーン(篠田節子)

東南アジアの島国のビーチリゾートでクーデターが発生し、安全なはずのホテルで外国人観光客までもが虐殺される。間一髪、虐殺を逃れた日本人女性3人組がたどりついた村は、異なる価値と秩序がせめぎあう「異文化接触地点」でした。 主人公の3人の女性は、…

アラトリステ2異教の血(アルトゥーロ・ペレス・レベルテ)

このシリーズが人気を博した理由は、単なる冒険譚に留まらず、スペインが世界最強国から転落しようとしている黄昏の時代の社会の雰囲気を味わうことができるからでしょうか。 若くて国民の人気はあり芸術の保護者としては名高いものの、国政については寵臣に…

アラトリステ1(アルトゥーロ・ペレス・レベルテ)

デュマの『三銃士』を髣髴とさせる、スペイン小説。ヴィゴ・モーテンセンの主演で映画化もされるようです。 1620年。無敵艦隊はすでになく、オランダも事実上独立を果たしており、スペインの栄光はもはや過去のものになろうとしている時代。負け戦だった…

熱砂の絆(グレン・ミード)

残念ながら、『雪の狼』ほどの衝撃はありませんでした。1953年のソ連でスターリン暗殺に向かう孤高の暗殺者と、1943年のカイロでルーズベルトを暗殺しようと試みるドイツスパイとの、魅力の差でしょうか。それとも、共産主義から脱出しようとする薄…

ミスティック・リバー(デニス・ルヘイン)

山の手育ちのショーンと、スラム街育ちのジミーとデイブ。遊び友達だけど、互いに住む世界が違うことはわかっている。そんな3人の関係は、11才の時に突然終わりを告げます。デイブが男たちに連れ去られ、4日後に自力で脱出したものの、人々は彼をさげす…

ダーク(桐野夏生)

作者の分身かと思っていた「村野ミロ」をここまで壊すのか。自分の分身だからこそ、めちゃくちゃにしちゃうのか・・。 「40歳になったら死のうと思っている」と始まる本書では、ほとんどの登場人物が身勝手さをむき出しにしながら、「砂糖菓子のように崩れ…

RUN! RUN! RUN!(桂望実)

今、若手女流小説家の間で、陸上がブームなのでしょうか。三浦しをんさんの『風が強く吹いている』や、佐藤多佳子さんの『一瞬の風になれ』に続いて、桂望実さんまで陸上を題材にした本とはね。題材は陸上でも、ティストは『県庁の星』のまま。一匹狼を貫く…

ぬしさまへ(畠田恵)

「しゃばけ」でデビューした畠中恵の、若旦那シリーズ第2作。前作で、日本橋の大店の若旦那・一太郎の出生の秘密や、めちゃくちゃ病弱で妖怪たちに守られていることなどは明らかになっていることを受けての短編集です。 しじゅう寝たきりで行動範囲も限られ…

影の王国(アラン・ファースト)

第二次世界大戦直前のパリ。ハンガリーの伯爵家の甥であり、広告代理店を営む男のもうひとつの顔は、ナチスに対する「影の戦線」に仕えるスパイでした。この本、通常のスパイ小説と異なって、彼の活動の目的がなかなかはっきりしてきません。 ある時は追われ…