りぼんの読書ノート

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アラトリステ1(アルトゥーロ・ペレス・レベルテ)

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デュマの『三銃士』を髣髴とさせる、スペイン小説。ヴィゴ・モーテンセンの主演で映画化もされるようです。

1620年。無敵艦隊はすでになく、オランダも事実上独立を果たしており、スペインの栄光はもはや過去のものになろうとしている時代。負け戦だったオランダ独立戦争での負傷で退役を余儀なくされた元軍人のアラトリステが、スペイン宮廷の謀略に巻き込まれます。

彼が襲撃するよう依頼されたイギリス人は、なんと皇太子でした。後のイギリス国王チャールズ1世となる20歳の若き皇太子が、スペイン王の妹マリアに求婚するため、無謀にもマドリッドに潜入しようとしていたのです。英国教会を憎悪し、皇太子を葬り去ろうとする異端審問官らの命令に反して、アラトリステは皇太子を助けてしまうのですが、もちろん謀略家たちは反逆者を見過ごしてはくれません。

主人公のアラトリステや、物語の語り手である13歳のイニゴは作者の創造ですが、実在の大詩人ケベードを親友に持つなど、虚実とりまぜてスペインの黄昏の時代を描いた本シリーズは大人気を博し、一話完結で5巻まで出版されるようです。

第1巻は「ツカミ」と「顔見世」といったところでしょうか。アラトリステの仲間たちや、敵役の異端審問官や王宮秘書官、さらには、少年イニゴの運命の女性となる邪悪な美少女らの主要登場人物が勢ぞろい。第二話以降も楽しみです。^^

2007/1