りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

コンタクト・ゾーン(篠田節子)

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東南アジアの島国のビーチリゾートでクーデターが発生し、安全なはずのホテルで外国人観光客までもが虐殺される。間一髪、虐殺を逃れた日本人女性3人組がたどりついた村は、異なる価値と秩序がせめぎあう「異文化接触地点」でした。

主人公の3人の女性は、それぞれ日本での生活に不満を抱えた30代の、ノンキャリ公務員に、買い物依存症に、不倫OL。どこにも連絡がとれず、脱出もままならない「村の生活」を生き抜く中で、彼女たちはそれぞれ変身していくのですが、こんな村にもゲリラの支配が及んでくるのでした・・。

篠田さんの主張ははっきりしています。イスラム原理主義か反イスラムか、民族解放か帝国主義かとのイデオロギー闘争は、支配を求める男たちの権力闘争にすぎず、むしろ女性的な共同体生活こそが、人間らしいものだと。日本人サラリーマンがアジアで内戦に巻き込まれるという、似たプロットの映画『僕らはみんな生きている』とは正反対。男たちは結局の所「男の仕事が女にわかるか!」と絶叫して戦うことに、活路を見出そうとするのですから・・。

変に海外ズレして、現地の危険をなめてかかって、リゾラバやブランドを漁りまくり、冒頭では腹立たしさしか感じさせない3人の女性が、どういう経験をして、どう変わっていくのかが読ませどころですね。^^

2007/1