りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

2005/10 憲法はまだか(ジェームズ三木)

10月は、順番をつけるのが申し訳ないくらいに、いい本にたくさん出会いました。2位と3位は、電車の中で読んでいて、涙ぐんでしまった本。でも、あえて1位は、今ホットな話題の『憲法』にしました。
1.憲法はまだか (ジェームズ三木)
10日間で憲法草案を書き上げたGHQスタッフたちの物語。日本の憲法学者は、なぜ理念を前面に出せなかったのか。男女同権条項などを作成した、当時22才の女性ベアテさんは、後になってきっぱり言い切っています。「自分の物よりいい物をプレゼントするのは押し付けではない」と。

2.火を喰う者たち (デイヴィッド・アーモンド)
キューバ危機に核戦争の不安を感じた夜、少年は大人になりました。視界が広がって、故郷の貧しさを自覚しはじめる多感な時期に、悩みながらも、家族や隣人への愛を失わないのは「一種の奇跡」のようなもの。涙が出そうになるから、電車で読んではいけません。

3.タイムトラベラーズ・ワイフ (オードリー ニッフェネガー)
不意に過去や未来に飛んでしまう「病気」を持った男性。そんな男性を愛してしまったらどうなるのだろう。それには、明るい未来への予感だけでなく、耐えられない側面も。これも、電車で読んではいけないな。

4.覘き小平次 (京極夏彦)
愛憎も理解できず、生にも執着しない小平次「鏡」。そこに映るのは、自分の嫉妬、猜疑、怒り・・。懇親の力でタタキ壊さなくてはならなかったのは自分の虚像。「百物語外伝」ともいえる、完成度の高い傑作です。

5.星を継ぐもの (ジェイムズ・ホーガン)
サイエンスに重きを置いた「70年代ハードSF」。「ファンタジー」ばかりが溢れるこの時代だから、かえって新しい。タイトルの意味を理解した時に心地よい感動を覚える一冊です。




2005/11/5