りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

2006/5 雪(オルハン・パムク)

いつも上位に重めの本を選んでしまう傾向がある。これは、はっきりいって「格好つけてる」からだろうな(笑)。インパクトの大きかった順に並べてるつもりですが、本当に楽しめた本を選ぶと、別のランキングになるのかもしれません。^^;

次点には、全く雰囲気の異なる「日米の歴史小説」を入れてみました。
1.雪 (オルハン・パムク)
『わたしの名は紅(あか)』の著者が書いた、最初で最後の政治小説。素朴な信仰が、どうして原理主義へと変貌していくのか。イスラムと西洋の異なる価値観の間を揺れ動く主人公の心を通して、相互理解に努めること、歩み寄ること、受容することの大切さが、あらためて胸に沁みてくるのです。

2.素数の音楽 (マーカス・デュ・ソートイ)
21世紀最後の謎ともいわれる「リーマン予想」に挑む天才数学者たちの、スリリングな闘いを描くノンフィクション。素数の定義は簡単なのに、素数を導き出す理論は見つけられていない。素数の分布を示す曲線が、量子物理学やカオス理論と近似している? それは、まるで宇宙の神秘を解き明かす旅のようです。

3.バガージマヌパナス (池上永一)
タイトルは、沖縄の言葉で「わたしの島」。無責任で無分別な暮らしをおくる少女に、神のお告げが下されます。神と人間の仲立ちをつとめる「ユタ」になりなさい・・と。ユタになんてなりたくない少女が、最後に見たものは? 爆笑ペースで読み進める本なのに、泣けてしまいした。

4.嫌われ松子の一生 (山田宗樹)
ひたすら転落の一途をたどる松子の人生は「逆ファンタジー」。最後に約束されているのは「幸福な結婚」ではなく「孤独な死」。尽くすほどに不幸に堕ちていく松子には「聖なるもの」すら感じます。ファンタジーっぽく、明るく映画化した監督は、正解なんだろうな。

5.イラクサ (アリス・マンロー)
短編の面白さがわかってきたのは、人生経験積んだからかしら。ひとつひとつの短編に、一生分の物語がぎっしり詰まっている。人生の断面に光をあてて、余分なものが切り捨てられているから、どの作品もずっしりと重い。「恋占い」は、ジュリアン・ムーア主演で映画化されるとのことです。




2006/6/2