8月は、東西の良質なファンタジーを読むことができました。『ゲド戦記』と『空色勾玉』では、知名度に雲泥の差があるけど、底に流れる歴史観や死生観では、荻原さんも負けてはいない。想像だけで、ひとつの世界を作り上げてしまうファンタジーの中には、結局、作家の全人格が現れてしまうものなのでしょう。1.ゲド戦記(ル=グィン)1 影との戦い 2 壊れた腕輪 3 最果ての島へ 4 帰還 5 アースシーの風 6 外伝
言わずと知れた、3大ファンタジーのひとつですが、一番奥が深い。映画化で話題になりましたが、作者のコメントは批判的ですね。「単純化された問い」を設定して「単純化された解答」を用意するのは、映画という表現形式においては、仕方ないことなのかもしれませんが・・。映画を観て「良かった」と思った人にも、「イマイチ」と感じた人にも、原作をお勧めします。
2.空色勾玉 (荻原規子)
古事記に題材を求めた、ジャパニーズ・ファンタジー。死によって女神と隔てられてしまった男神が望んだことは、世界を、豊葦原国が産み落とされる前の生も死もない混沌に戻し、2人してはじめからやり直すことでした。死を肯定的に捉える生死観も世界観もしっかりしているし、古代史への深い造詣に基づいた巧みなストーリーもお見事です。
古事記に題材を求めた、ジャパニーズ・ファンタジー。死によって女神と隔てられてしまった男神が望んだことは、世界を、豊葦原国が産み落とされる前の生も死もない混沌に戻し、2人してはじめからやり直すことでした。死を肯定的に捉える生死観も世界観もしっかりしているし、古代史への深い造詣に基づいた巧みなストーリーもお見事です。
3.Lady, Go (桂望実)
ネクラで自分を好きになれない女の子が、キャバクラ嬢に大変身! お客さんに気に入ってもらえるように、悪戦苦闘を重ねます。キャバクラで働くなんて、ちょっとした異次元体験ですね。彼女はちょっぴり自信をつけて、普通の世界に戻っていくのです。この人、『県庁の星』の時より、はるかに上手になりましたね。
ネクラで自分を好きになれない女の子が、キャバクラ嬢に大変身! お客さんに気に入ってもらえるように、悪戦苦闘を重ねます。キャバクラで働くなんて、ちょっとした異次元体験ですね。彼女はちょっぴり自信をつけて、普通の世界に戻っていくのです。この人、『県庁の星』の時より、はるかに上手になりましたね。
4.女帝 (シャン・サ)
悪女の典型といわれる、中国史上唯一の女性皇帝・則天武后。彼女は本当に、悪政を行った非情の簒奪者だったのでしょうか。フランス在住の中国人女性作家が、正史に挑みます。男性によって書かれた歴史を書き直せるのは、結局、女性なのかもしれませんね。史書には珍しく一人称で書かれた、詩情あふれる文体も美しい。
悪女の典型といわれる、中国史上唯一の女性皇帝・則天武后。彼女は本当に、悪政を行った非情の簒奪者だったのでしょうか。フランス在住の中国人女性作家が、正史に挑みます。男性によって書かれた歴史を書き直せるのは、結局、女性なのかもしれませんね。史書には珍しく一人称で書かれた、詩情あふれる文体も美しい。
5.秀吉の枷 (加藤廣)
70歳を過ぎて鮮烈なデビューを果たした加藤さんの第二作。前作『信長の棺』で、同時代の歴史家に追究させた歴史の謎を、今度は、当事者である秀吉の視点から読ませてくれます。書き尽くされた感のある「戦国物」に新しい視点を持ち込んだ加藤さん、まだまだお若いです。^^
70歳を過ぎて鮮烈なデビューを果たした加藤さんの第二作。前作『信長の棺』で、同時代の歴史家に追究させた歴史の謎を、今度は、当事者である秀吉の視点から読ませてくれます。書き尽くされた感のある「戦国物」に新しい視点を持ち込んだ加藤さん、まだまだお若いです。^^
その他今月読んだ本
・アッコちゃんの時代 (林真理子)
・うそうそ (畠中恵)
・県庁の星 (桂望実)
・ダイスをころがせ (真保裕一)
・オケアノスの野望を砕け (クライブ・カッスラー)
・東スポ黄金伝説。 (赤神信)
・あやし うらめし あな かなし (浅田次郎)
・浮世の画家 (カズオ・イシグロ)
・司書はときどき魔女になる (大島真理)
・ジョン・ランプリエールの辞書 (ローレンス・ノーフォーク)
・アレクサンドル1世 (アンリ・トロワイヤ)
・アッコちゃんの時代 (林真理子)
・うそうそ (畠中恵)
・県庁の星 (桂望実)
・ダイスをころがせ (真保裕一)
・オケアノスの野望を砕け (クライブ・カッスラー)
・東スポ黄金伝説。 (赤神信)
・あやし うらめし あな かなし (浅田次郎)
・浮世の画家 (カズオ・イシグロ)
・司書はときどき魔女になる (大島真理)
・ジョン・ランプリエールの辞書 (ローレンス・ノーフォーク)
・アレクサンドル1世 (アンリ・トロワイヤ)
2006/9/5