りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

2005/8 人が見たら蛙に化れ(村田喜代子)

8月は日本の作家の作品が上位に入りました。物語のおもしろさを楽しめた本が多かったかな。
1.人が見たら蛙に化れ (村田喜代子)
「他の人が見たらただの蛙でも、自分なら価値を見出せる」と信じ、骨董品にとりつかれた3組の夫婦が、お宝を探して東へ西へ。美とお金にまみれた、不思議な人間模様を描き出してくれた作品です。

2.魂萌え! (桐野夏生)
夫に先立たれた初老の妻が、老いと孤独に立ち向かう。それは同時に、世間と自分にあらためて向き合うこと。開き直って「魂も萌える」主人公に、共感覚える人も多いはず。

3.千年の黙 (森谷明子)
源氏物語の1帖と2帖の間には、失われたストーリーがあった? 自分の著作が消されようとしている謎に、紫式部が挑みます。謎を解いた式部が、なぜ著作の消滅を受け入れたのか、との推理まで展開するダブル・ミステリ。

4.越境 (コーマック・マッカーシー)
『すべての美しい馬』に続く「国境トリロジー」の第2作。捉えたオオカミに魅入られてメキシコに戻そうとして起こった悲劇。「越境」とは地図上のものではなく、「別の何か」を越えてしまうことなのでしょう。

5.光の帝国~常野物語 (恩田陸)
それぞれ不思議な能力を持ちながら、ひっそりと暮らしている一族。彼らは人類から見て異分子なのでしょうか。何か大きな物語を予感させる「序章」的な連作短編集です。



2005/9/2