りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

2006-12-24から1日間の記事一覧

靖国問題(高橋哲哉)

アジア各国から批判を浴びる、首相の靖国神社公式参拝。タイムリーなことに、ちょうどこの本を読んでいたときに、大阪高裁で「公式参拝違憲」の判決が出されました。 著者の主張は明確です。「靖国は、戦没者の『追悼』ではなく『顕彰』の施設であり、英霊を…

ロズウェルなんか知らない(篠田節子)

2030年には人口がゼロになると言われる過疎の村。温泉もスキー場もゴルフ場もない。あるのは星の美しい夜空と、縄文時代の遺跡だけ。そんな村を再生しようと、モト若者たちが悪戦苦闘。 「日本の四次元地帯」で売り出そう! 山肌に散らばる石をストーン…

無知(ミラン・クンデラ)

著者はチェコからフランスに亡命した作家でありながら、ビロード革命による祖国解放後もフランスにとどまっています。私なども「なぜ帰国しないのだろう」と思っていた1人でしたが、その答えが本書にありました。本書のテーマは、亡命からの帰還者が味わう…

ミルク・イン・コーヒー(エリック・デイッキー)

コーヒーにミルクをたらしたら、何色になる? コーヒー色の肌をしたジョーダンが、ふとしたことから、クリーム色の肌をしたキンバリーとニューヨークで恋に落ちる。 ジョーダンは、兄弟や友人たちの反応が気になって仕方ない。実際に「白人女とつきあうなん…

キップをなくして(池澤夏樹)

電車に乗るときには、キップを失くしてはいけません。駅から出られなくなってしまうから・・。 キップを失くした子どもたちは、東京駅の構内にある秘密の部屋に連れて行かれます。そこは、駅から出られないステーション・キッズたちが暮らす場所。トム・ハン…

後巷説百物語(京極夏彦)

「百物語シリーズ」は、「京極堂シリーズ」と裏表の関係のようです。「怪異はそれを信じたがる人の心にある」ということを、「どちら側から見るのか」という違いなのかもしれませんが。 小股潜りの又市や、山猫回しのお銀が仕組む、怪異現象。それは、真実を…

退屈姫君伝(米村圭伍)

ピデコが紹介していた「なんちゃって江戸もの」は、同じ著者の別の作品ですが、ティストは一緒じゃないかな。 東北の大藩から四国の小藩に嫁いだ姫君が大活躍。美貌ながら生来のいたずら好きな「めだか姫」が、殿が国元に戻っている間に、なんと田沼意次と対…

宇宙戦争(H.G.ウェルズ)

スピルバーグ監督、トム・クルーズ主演で公開された映画の原作。原題が「The War of the World(地球世界の戦争)」であって、「戦うのは人間だけじゃない」ことは、映画の感想でも書いたとおり。100年も前に書かれた本とは思えない斬新さを今でも保って…

ヒーセッド・シーセッド(柴田よしき)

新宿2丁目の保育園長 兼 私立探偵・花咲慎一郎シリーズの3作目。 子供に対する愛情の注ぎ方には色々あるってわかっていながら、全てが理想どおりにいくもんじゃないことはわかっていながら、自分がそんなに立派な人間じゃないことなんてわかっていながら、…

お化けだぞう(村田喜代子)

ちょっと前に読んだ『人が見たら蛙に化れ』は、骨董につかれて「お宝探し」に狂奔する男女を描いた本でしたが、数年前にかかれた本書は「不思議な草木」につかれた人たちが主人公。そこそこ面白かったけど、「蛙」には及ばないかな。 隠居した江戸日本橋の呉…

Pay Day!!!(山田詠美)

ハーモニー(兄)とロビン(妹)は、双子の17歳。両親は離婚していて、兄は父とサウスキャロライナで、妹は母とニューヨークで暮らしていました。ロビンが父と兄をサウスキャロライナに訪ねた夏の終わりに9.11テロが起こり、母は行方不明になってしま…

ペンギンの憂鬱(アンドレイ・クルコフ)

1990年代のウクライナ。首都キエフでも、まだソ連解体後の混乱は続いていて、普通に生活していても銃撃音や爆発音が聞こえてくる日常。 売れない小説家のヴィクトルは皇帝ペンギンと同居しています。「閉鎖される動物園から引き取った」とかの説明がある…

エキスペリエンツ7(堺屋太一)

『団塊の世代』からすでに30年も経っているとは驚きます。当時は「近未来小説」だった、あの本のラストは、過当競争と過剰施設を残して年老いていく世代の悲哀でした。その未来が近づいてきました。 でも実際に高齢化を迎えた団塊世代は、もっとパワフルで…

スターウォーズ・エピソード3(マシュー・ストーヴァー)

映画の原作本です。映画で省略されていたことや、見落としていたことがたくさんあります。 まずは、オビ・ワンとアナキンがスーパーヒーローということ。「こんなのあたりまえじゃん!」と思うでしょうが、クローン大戦での2人の際立った活躍は全銀河に中継…

空想科学裁判(円道祥之)

以前、『空想科学読本』という本が流行りました。特撮番組やアニメに登場する変身、巨大化、必殺技などが科学的にどこまで「ありえる」のかを「検証」した本。 これは、明らかに二番煎じ。アニメや特撮番組で「あたりまえ」だったことが、「実は法律に触れて…