りぼんの読書ノート

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宇宙戦争(H.G.ウェルズ)

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スピルバーグ監督、トム・クルーズ主演で公開された映画の原作。原題が「The War of the World(地球世界の戦争)」であって、「戦うのは人間だけじゃない」ことは、映画の感想でも書いたとおり。100年も前に書かれた本とは思えない斬新さを今でも保ってます。

あらためて原作を読んでみて驚いたのは、映画の大筋だけじゃなく、細部までもが原作に依拠していること。100年前には想像できないハイテク部分は仕方ないけど、それだって、ほとんど克服しているくらい。

舞台はロンドン。当時の世界最強国の首都です。主人公は、いち早く危険を察して馬車を調達して逃げ出します。火星人の戦闘マシン(トライポッド)は映画でも一緒。火星人が、火星の植物を育てようとする部分や、逃げ遅れた主人公が廃屋に隠れる場面も一緒。ラスト、鳥たちが戦闘マシーンに群がる場面まで一緒です。最初から最後まで、火星人の襲来から逃げ惑うばかりの、一般市民の視点から描かれているのも全く一緒。

タイムマシン、透明人間、月世界旅行、核戦争時代の到来や、新生物の創造(モロー博士の島)などのアイデアはもちろん表現方法まで、時代の水準から抜け出ていたってことですよね。ジュール・ヴェルヌと並んで「SFの父」と称せられるのも、当然なのでしょう。^^

2005/9