りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

ロズウェルなんか知らない(篠田節子)

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2030年には人口がゼロになると言われる過疎の村。温泉もスキー場もゴルフ場もない。あるのは星の美しい夜空と、縄文時代の遺跡だけ。そんな村を再生しようと、モト若者たちが悪戦苦闘。

「日本の四次元地帯」で売り出そう! 山肌に散らばる石をストーンサークル状に並び替え、掘り出した巨石には神社のご神体の銅鏡をとりつけ、山の向こうからはUFOに似せた風船をとばす。取材に来たTV局の元アイドルキャスターの職場放棄は、エイリアンによる誘拐事件に仕立て上げる!

モト若者たちの危ない計画に反対していた老人たちも、ブームにのった客が来はじめると、ノリはじめます。言い伝えをでっちあげたり、怪奇現象をでっちあげたりして、村ぐるみで過剰な演技を競い合う。

もちろん、こんなインチキがバレないはずはありません。マジメな週刊誌にたたかれ、首謀者はご神体窃盗の罪で逮捕。直前に迫った「秋のUFO祭り」は中止せざるを得ないのでしょうか。

コンセプトは「地方の未来をマジメに笑う」。ラストの開き直りの素晴らしさは、笑いを超えて感涙もの。小説のおもしろさって、こういうもんなんだなぁ。^^

2005/9