
シリーズ第2部の大半は、第二次世界大戦の時代です。戦争の中で、主人公たちの運命も大きく変わっていくことになります。
愛するエマが異母妹である可能性が判明して結婚をあきらめたハリーは、乗り組んだ船が沈められた際に死亡したアメリカ人の名前を名乗りますが、アメリカ上陸とともに逮捕されてしまいます。成り変わった相手が犯罪者だったのです。不条理な刑務所暮らしをおくるハリーに巡ってきた機会は、戦争に参加したアメリカ軍の一員として従軍することでした。
ハリーの死を信じられないエマは、生まれたばかりの息子を置いて単身渡米。ハリーの居所を探す中で、自分が登場する本がベストセラーになっていることを知らされます。ハリーが獄中で書いた日記が、剽窃者によって出版されていたのですが、その本が2人を次のステージに導くことになっていきます。
ハリーの親友でエマの兄であるジャイルズは、英国軍士官としてアフリカへ。逃亡した父親のヒューゴーは相変わらずの卑劣漢ぶりを発揮して、ユダヤ人亡命者の女性を金蔓として扱います。祖父の急死で戻ってきたら、たちまち相続した海運会社の経営を傾かせ、さらにはハリーの母メイジーを再び欺こうとするのですが・・。やがて「相続」と「結婚」を巡る問題が、本人たちの意思を超えた大論争になっていきます。
著者は、作家の道を歩ませるハリーと、政治家の道を進ませるジャイルズの2人とも、自分の分身として描いているようです。考えてみれば、どちらも人気商売ですね。著作が売れるかどうかも、選挙で当選するかどうかも、最後は「天命を待つ」ようなものでスリリングです。ハリーが服役した獄中の様子も、もちろん自身の経験から書かれているのでしょう。
ただ、著者が得意とする、「すれ違いとどんでん返しの物語」を「引っ張れるだけ引っ張る手法」は、そろそろ限界のように思えます。登場人物が類型的だからなのか。脇役を使い捨てるからなのか。それとも肝心のストーリーに新味を感じられないからなのか。もちろん最後まで読み切りますけどね。
2014/11