2025-03-01から1ヶ月間の記事一覧
1.亡霊の地(陳思宏) 台湾中部の山中にある「永靖」という架空の村は、「鬼地方(くそったれの地)」と呼ばれる呪われた村。そこで暮らした両親と7人兄弟の、地獄のような人生の物語。主人公である末息子の陳天宏は、ゲイで周囲からも虐げられた末にベルリ…
過去を捨てさって新たな人生を求める者たちの逃亡を助ける「くらまし屋」シリーズの第4弾では、「くらまし屋」を利用しようとする陰謀が描かれます。 物語は、ひと気のない土蔵に、5人の者たちが呼びだされたことから始まります、骨董商の仁吉、役者の銀蔵…
戦国時代前期に築かれた山城で、原型を残しているものはありません。信長や秀吉が天下統一を成し遂げていく過程で次々と滅ぼされ、歴史的役割を終えていったのです。著者はその理由を、鉄砲という新兵器の出現と、勝ち残った戦国大名の経済力が包囲戦を可能…
時代ファンタジーから本格時代小説へと幅を広げた著者の新作は、超リアルな時代小説でした。江戸時代中期の中型商船・五百石船が異国に漂流した顛末を描いた物語です。江戸から尾張へと戻る途中で暴風にあった15人の乗組員たちが、過酷な漂流の末にフィリ…
台湾中部の山中にある「永靖」という架空の村を舞台とする家族の物語。7人兄弟の末息子である陳天宏が主人公ですが、両親も5人の姉も兄も、まるで「鬼地方(くそったれの地)」である「永靖」に呪われたように、それぞれ地獄のような人生をおくっています。 …
戦後大阪に数年間だけ実在した「大阪市警視庁」の刑事たちの活躍を描いた『インビジブル』に続く、転換期の警官の物語。本書の舞台となるのは、翌月の本土復帰とともに沖縄県警として再編されることになる、1972年4月の「琉球警察」です。 警視庁に出向…
ブサメンのオタク警官が常駐している秋葉原の駐在所に転がり込んできたのは、女性問題で謹慎処分を受けたイケメンでボケナスの後輩・向谷。しかも向谷は霊感を有しているようで、なんと足だけの女性の幽霊を連れて来てしまったのです。 「2人+幽霊」の迷ト…
かつて1990年代の日本で「名探偵ブーム」があったという設定で書かれた物語。当時一世を風靡した名探偵四天王のひとり五狐焚風の助手だった鳴宮夕暮は、令和の現在50歳となり、亀戸で実家の喫茶店を継いで経営しています。彼女の過去など知らない客た…
大ヒット作「幻想郵便局シリーズ」の番外編。この世とあの世の間のあわいにあって、2つの世界を手紙で繋ぐ幻想郵便局。そこの登天局長の正体が千年以上もの長寿を保つ紀貫之であることは、シリーズ第3巻の『幻想日記店』に明らかにされています。本書では…
17世紀オランダに生まれたスピノザは、わかりにくい哲学者です。汎神論者でありながら、後世の無神論や唯物論に影響を与えたとの解説が、すでに意味不明。しかし、人間の自由意志を否定した宿命論者でありながら、人間の行動と感情を肯定的に捉えて、神の…
主人公は32歳の小林波間。乳がんを患ったことを両親に隠し、実家を離れて治療中。薬の副作用でまともに仕事もできなくなり、兄と友人に支えてもらっている女性。物語は、彼女の目の前で若い女性がいきなり暴漢に刺されるというショッキングな場面で始まり…
ジブリ映画「ハウルの動く城」や「アーヤと魔女」の原作の著者として有名になった、魔法をテーマとするファンタジー作家の初期の作品です。 架空の大陸ディルマークの町から町へと旅する吟遊詩人クレネンの一家が、悲惨な運命に見舞われます。専制君主たちが…
古代の謎を解き明かす『ナインスゲート』や、17世紀スペインの傭兵隊長の一代記であり『アラトリステ』シリーズなどの著者による、近世スペインを舞台とするミステリです。いや、謎解きが主眼ではないのでサスペンスか。 スペイン女王イザベル2世が反乱軍…
『空の都の神々は』の続編です。舞台は前作同様に、かつて光の神イテンパス、闇の神ナハド、黄昏の女神エネファの三神によって創られた世界。前作の主人公であったイェイナは、殺害されたエネファに代わって三神の座に就き、罪を犯したイテンパスは人の身に…
2024年の本屋大賞受賞作です。受賞理由は明白。主人公・成瀬あかりが、圧倒的に魅力的な人物なのです。 「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」なる意味不明な言葉は、夏休みいっぱい閉店を控えた西武大津店に毎日通って地元テレビの中継に映る…
よくある「実はこうだった童話」の類かと思ったら、相当に凝った造りの物語でした。2015年の第7回角川春樹小説賞を受賞した作品だけのことはあります。 舞台は15世紀末のルテシアというから、パリのことですね。イングランドとの100年戦争に勝利し…
詐欺をめぐる3篇の小説は、安全地帯にいたはずの者たちが騙す側や騙される側になってしまう心理を巧みに描いてくれますが、それだけではありません。通常であれば不幸な結末が待っているはずの物語に、著者は不思議な明るさを与えてくれるのです。まるで、…
アクション小説家として売り出し中の著者による、19歳の少年を主人公とするスパイ小説ですが、主人公の沖野修也は異能力者です。彼には、敵意や嫌悪を抱く人たちの目が赤く光って見えるというのです。そんな異能力を用いて活躍するのかと思いきや、見習い…