りぼんの読書ノート

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クリフトン年代記5.剣より強し(ジェフリー・アーチャー)

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シリーズ第4作と第5作の間に1年半も間が空いてしまったので、思い出すのに苦労しました。そういえば、主な登場人物がほとんど全員乗っている客船がIRAに爆破されそう・・というとんでもないところで終わっていたのです。もちろんそんな企てが成功するはずもなく、クリフトン一族に悪意を抱いていたマルティネスは、ここで退場のようです。

しかし、本書の対象となる1960年代から70年代にかけて、クリフトン一族には次々と難問が降りかかります。イギリス・ペンクラブの会長となったハリーは、シベリア強制収容所に幽閉されているロシア人作家の著作を入手するためにモスクワ訪問するものの、KGBの罠に落ちてしまいます。ハリーが苦境を脱するために用いた言葉が、タイトルの「剣より強し」なのですが・・。

バリントン海運の会長を務めるエマは、敵対する一味から会社の乗っ取りを仕掛けられると同時に、兄ジャイルズの元妻ヴァージニアから名誉棄損で訴えられます。その判決の結果で会社の行く末も左右されそうなのですが、その結果は次巻にならないとわかりません。

2人の息子セバスティアンの年齢は、20代後半から30代でしょうか。彼の能力を見込んでいたスコットランドの銀行家ハードキャッスル氏の急死によって、彼の運命は大きく変わりそうです。アメリカ人の恋人サマンサとの関係がどうなるのかも、予断を許しません。

エマの兄ジャイルズは、労働党退潮の中で、自業自得の振る舞いもあって選挙に落選。党からは貴族院の席を提供されたものの、それを断って補欠選挙に挑みます。彼が落選したのが1970年の総選挙ですね。まだサッチャーが登場する前で、EC加盟もこれからの時期。

このシリーズは3部作の予定が、5部作、そして7部作へと延びて行っていますが、そこで終わるものかどうかも不安になってきました。著者は最近のEU離脱や、ポピュリズムの台頭についても書きたいのではないでしょうか。

2017/2