2026-03-01から1ヶ月間の記事一覧
1.アートで平和をつくる 沖縄・佐喜眞美術館の軌跡(佐喜眞道夫) 沖縄旅行の際に訪れた佐喜眞美術館は、設立者である著者が、米軍基地に接収されていた先祖代々の土地を取り戻して建てたものです。最大のコレクションは、丸木位里、丸木俊夫妻による連作…
なんとも不穏なファンタジー小説です。舞台は「塔の地」という国の「始まりの町」。そこは伯爵によって支配され、そこに流れ着いた流民は「羽虫」と呼ばれて、あらゆる面で差別を受けている町でした。 物語は13年ぶりに帰郷した青年トゥーレが、廃墟となっ…
『82年生まれ、キム・ジヨン』の著者による、ソウルにある架空の街ソヨン洞を舞台にした連作短編小説です。そこは韓国の都市部によくあるマンション地区であり、そこに住む住民たちの人間模様が描かれていきますが、真の主人公は韓国の住宅事情そのものな…
たかだか10万石の大名でしかない真田家は、同クラスの中小大名の中で飛びぬけて著名な存在です。その背景には、上田城で徳川勢を2度に渡って撃退した父・真田昌幸、大阪の陣で奮戦し豊臣家と運命をともにした次男・真田幸村、徳川について明治まで続く「…
沖縄旅行の際に、宜野湾市にある佐喜眞美術館を訪れました。普天間基地に食い込むように建つ美術館は、設立者である著者が、米軍基地に接収されていた先祖代々の土地を取り戻して建てたものです。そしてその最大のコレクションは、丸木位里、丸木俊夫妻によ…
世界各地の「秘境」を電車やバスなどの公共交通機関で旅してきた著者ですが、旅が不要不急のものとされたコロナ禍期間は困っていたそうです。そしてその間に著者は「シニア」になってしまいました。本書は、70歳を目前にした著者が、身近な日本各地を巡っ…
順番が逆になってしまいましたが、先に読んだ『モネの宝箱』の前の物語。主人公の桜野優彩は、高校卒業から7年間勤めた画材店が店じまいしたことで仕事を失ったばかり。落ち込んでいたところに、見知らぬ旅行会社から「アート旅」モニター参加の招待状が届…
東大大学院で地球惑星科学を専攻した著者が、『月まで三キロ』に続いて、科学的知識を駆使して綴った短編小説集です。著者は男性ですが、科学を志す女性たちへの心優しい視線が印象的です。 「八月の銀の雪」 コミュニケーションを抱えるが故に就職活動で連…
総合商社でバリバリ活躍していた33歳のひまりは、交通事故で頚髄損傷。意識は明瞭であるものの四肢麻痺という重い障害を背負ってしまいます。過酷なリハビリを続けても、首から下は動かないまま。勤務先からはやんわりと退職を求められ、役所の障害者就労…
浄土真宗門徒たちが起こした加賀一向一揆は、1488年に加賀守護の富樫政親を倒して「百姓ノ持チタル国」を打ち立てます。守護大名の支配を排除した民主的な政治体制は画期的なものでしたが、本願寺中央の介入や内部抗争の激化によって、次第に腐敗してい…
「安史の乱3部作」の第2巻の舞台は大唐帝国の都・長安でした。第1巻が安禄山の息子・安慶緒、第3巻が史思明の息子・史朝義という反乱軍側の実在人物を中心に描かれたのに対して、こちらは唐側の物語。ただし主役級の女傑が登場することでは共通していま…
『元彼の遺言状』で2021年にデビューして以来、深い専門知識に基づきながらもコミカルなミステリで人気を博してきた著者ですが、2024年の『女の国会』以来、社会的なテーマに舵を切りつつあるようです。本書のテーマは、少年犯罪における復讐と贖罪…
コナン・ドイルによる「シャーロック・ホームズ正典」は長編・短編合わせて全60編あります。それから80年、他の作家によるホームズ譚は数多くありますが、2011年に書かれた本書はコナン・ドイル財団によって「61番目のホームズ作品」と公式認定さ…
先に読んだ『震雷の人』と同様に、唐中期に起こった「安史の乱」を背景にした物語。楊貴妃に溺れて政治を疎かにした玄宗皇帝治世末期に起こった反乱は、副都・洛陽、首都・長安を陥落させて「大燕国」の建国を名乗るに至りました。しかし大燕国の皇帝は暗殺…
1985年に『侍女の物語』で世界的な名声を得た著者が、その8年前に著した短編集です。日本では1989年に14作中6作を含む書籍として発売されましたが、このたび1作を加えて再刊されました。訳者の岸本佐知子さんが述べているように、どの作品も「…
建武新政の立役者で軍神と崇められた楠木正成の息子・正行は、南朝の河内守護として北朝勢力の侵入を跳ね返す一方で、南朝からの決起の促しにも応えることなく過ごしていました。彼は戦乱の世を終わらせるために北朝に降る覚悟を固めていたのです。しかし彼…
建武新政の立役者となった楠木正成が、後醍醐天皇と袂を別った足利尊氏軍に絶望的な戦いを挑んで湊川で戦死してから6年後。京を奪われて吉野に南朝を建てた後醍醐天皇も既に亡く、室町幕府に擁立された北朝の勢いを覆すことなど、既に不可能になっています…