りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

2026-04-01から1ヶ月間の記事一覧

2026/4 Best 3

1.文明交錯(ローラン・ビネ) ジャレド・ダイアモンドの文明論を覆して、古代に大西洋を渡ったバイキングと接触したことで鉄、馬、病原菌への免疫を伝えられていたインカ王が、スペインを征服する歴史改変物語。サラマンカでカール5世を捉え、異教に寛大…

わたしたちの不完全な人生へ(ヴェロニク・オヴァルデ)

思い通りには進まない「不完全な人生」に、ちょっとした転機が訪れることもあるのです。そんな機会を逃してはいけない反面、多くを望みすぎてもいけないようです。 孤独な子供時代からずっと不運続きだったオーギュストは、趣味のサウンドに浸ろうと静かな地…

文明交錯(ローラン・ビネ)

スペイン人の征服者ピサロがわずかな兵で強大なインカ帝国を征服できた背景には、『銃・病原菌・鉄』などの存在があったというのが、ジャレド・ダイアモンドの文明論の骨格です。しかしインカの人々がすでにそれらを持っていたら、その逆のことが起こってい…

大江戸恐龍伝 6(夢枕獏)

将軍家治が龍を見物にやってきたその日、龍囲いで大火事が起こって、龍が江戸の町に放たれてしまいます。龍使いの姫君。樊が江戸を離れている中で、龍を捕える方法はあるのでしょうか。もともと人類とゴジラが対等に戦える時代として江戸の物語に仕立て上げ…

大江戸恐龍伝 5(夢枕獏)

ニルヤカナヤに漂着していた越五屋の隠し子・庄九朗は生きていました。それどころか方丈国の姫君・樊と将来を誓い合う中になっていたのです。捕虜にされたり、迷宮に迷い込んだり、恐竜に襲われたり、戦火に巻き込まれたりとの大冒険の末に、全ての謎を解い…

大江戸恐龍伝 4(夢枕獏)

始皇帝時代の徐福伝説、琉球・加良間に伝わるマユンガナシーの祭り、盲目のユタに伝えられたオモロ唄、徳川初期にニルヤカナヤから龍の掌を持ち帰った有野作之進の物語、琉球で発掘された古代の岩絵・・さあざまなものが組み合わさって、ニルヤカナヤの方角…

大江戸恐龍伝 3(夢枕獏)

冒頭に登場した遭難船の生き残りが京に現れます。その男は半ば気がふれていたものの、龍と黄金のことを国にします。そしてその船に乗り合わせていた越五屋主人・三津井庄右衛門の隠し子である庄九郎も生きているようです。庄右衛門から息子救出を依頼された…

大江戸恐龍伝 2(夢枕獏)

大坂から江戸に戻った源内は、ゑれきてるを復元。その一方で浄瑠璃を書いたり、鉱山採掘をしたりと、様々なことに手を染めるのですが、どれも思うようにはいきません。それは何をするにも窮屈な国のせいなのでしょうか。それともひとつのことに生涯を賭ける…

大江戸恐龍伝 1(夢枕獏)

なんと花のお江戸に恐竜が現れるという荒唐無稽な物語。下敷きにしているのは映画の「ゴジラ」と「キングコング」なのですが、コナン・ドイルの『失われた世界』と、ジュール・ヴェルヌの『地底旅行』も意識しているとのこと。しかも主人公は、奇想の天才・…

バニラなバカンス(賀十つばさ)

『バニラな毎日』の続編です。経営不振のために一旦はクローズした洋菓子店を再開したパティシェ白井葵と、彼女の再生のパワーを与えた元料理研究家の佐渡谷真奈美の「その後」が描かれます。蓮佛美沙子さんと永作博美さんがダブル主演したドラマは、この2…

バニラな毎日(賀十つばさ)

蓮佛美沙子さんと永作博美さん主演のドラマが良かったので、原作も読んでみたくなりました。ドラマは原作に忠実に作られていたようです。 30代のパティシェ白井葵は、自ら経営していた洋菓子店「パティスリー・ブランシュ」を経営不振で閉めることになって…

ロードス島戦記 灰色の魔女(水野良)

ハイファンタジー世界に現れた戦乱の兆し。正義感に押されて故郷の村から出立して、聖剣を手にする正義王のもとに向かうのは、亡き父の汚名を背負った勇者、幼馴染の神官、エルフの少女、ドワーフ戦士、魔術師、元盗賊の6人組。彼らに敵対するのは黒魔術を…

飲中八仙歌 李白と杜甫(千葉ともこ)

盛唐機の「安史の乱」を題材とする3部作に続く作品の主人公は、詩人の杜甫でした。やはり同時代の人物で、長安陥落直後に詠んだ、「国破れて山河在り」で始まる五言律詩「春望」はとりわけ有名です。 本書は、40代半ばまで仕官が叶わず不遇な時を過ごした…

なぜではなく、どんなふうに(アリアンナ・ファリネッリ)

2016年11月。大学で政治学を教えているイタリア系アメリカ人の女性ブルーナは、アメリカ大統領選挙結果を見て落ち込んでいました。追い打ちをかけるように届いたニュースは、教え子のムスリム青年ユヌスが、突然イスラム国に向けて出奔したというので…

桃中図(宮城谷昌光)

古代中国を舞台とする大長編を主戦場としている著者の自選短編集です。長編に収めきれなかったエピソードなのでしょうが、どれも「思い入れの深い」作品だそうです。 「桃中図」 桃の木の洞から出て来た古地図が、始皇帝埋蔵金の隠し場所を記したものだとは…

帰れない探偵(柴崎友香)

「今から十年くらいあとの話」と前置きされて始まるのは、故郷の国を離れて探偵として身を立てる「わたし」の物語。しかし彼女は突然、自宅兼事務所に帰れなくなってしまいます。停電の日を境にして、彼女の部屋は突然、路地ごと消え失せてしまったのです。…

一四一七年、その一冊がすべてを変えた(スティーヴン・グリーンブラット)

古代ローマの哲学者エピキュロスについて学校で学んだのは、「快楽主義者」という若干ネガティブなイメージだけ。しかし、デモクリトスの「原子論」を受け継ぐ認識論をベースとしたエピキュロスの思想は、現代でも色褪せていない哲学倫理体系です。300年…

成瀬は信じた道をいく(宮島未奈)

メジャーデビュー作『成瀬は天下を取りにいく』で、圧倒的に魅力的な唯一無二のヒロイン・成瀬あかりを生み出した著者のシリーズ第2作です。またしても傍若無人で我が道を行く成瀬の魅力、さまざまな人たちが引き込まれ、振り回されていきます。 「ときめき…

ゆびさきに魔法(三浦しをん)

これまで、浄瑠璃師、木こり、辞書編纂家、社史編纂担当者、筆耕士、植物学者などを主人公として、優れた「お仕事小説」を書いてきた著者の新作の主人公はネイリストでした。 東京の私鉄沿線駅前の商店街にネイルサロン「月と星」を開いた月島美佐は、「ネイ…

ジートコヴァーの最後の女神たち(カテジナ・トゥチコヴァー)

チェコ東部、スロヴァキアとの国境近くにあるジートコヴァーという辺境の地に、かつて「女神」と呼ばれる女性たちがいたといいます。薬草の知識と占いの力を有し、人々に治療や予言を施してきた女神たちは、中欧で最も古い宗教の名残りなのでしょうか。何十…

エッシャー完全解読(近藤滋)

「だまし絵」で有名な画家エッシャーが晩年に描いた、「不可能建築シリーズ」と呼ばれる3作品を中心として、エッシャーが語らなかった視覚トリックの解明を試みた著作です。 どれも有名な作品なので、錯覚を起こす幾何学原理は既によく知られています。ねじ…

モリアーティ(アンソニー・ホロヴィッツ)

コナン・ドイルによる全60編の「シャーロック・ホームズ正典」を継いだホームズ譚が数多くある中で、コナン・ドイル財団によって公式認定された最初の作品『絹の家』に続く本書の主役はモリアーティでした。そもそもモリアーティは、ホームズ譚の執筆を終…