りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

2006-12-30から1日間の記事一覧

ダイスをころがせ(真保裕一)

読書ノート仲間のガラがお勧めしていた真保さんの本です。 職を失い妻子と別居中の34歳の男が、高校時代のライバルから誘われる。「次の衆院選に立候補する。共に戦ってくれ」と。コネなし。金なし。知名度なし。あるのは理想のみ。政党に所属せず、昔の同…

県庁の星(桂望実)

織田祐二と柴崎コウの主演で映画化された話題作です。県庁に勤めるエリート役人が民間との人事交流研修に出た先は、めちゃくちゃローカルの冴えないスーパーマーケット。 お役所用語と人脈の間の遊泳術で完璧に武装したエリートも、マニュアルも組織図もない…

秀吉の枷(加藤廣)

『信長の棺』で颯爽とデビューした70歳の新人、加藤さんの第二作。 秀吉を古代において天皇家に仕えていた丹波の賤民の末裔である尊王思想の持ち主として描き、光秀のクーデターを事前に知りながら、皇位を簒奪しようとしていた信長をついに本能寺にて横死…

うそうそ(畠中恵)

『しゃばけ』シリーズの最新作です。第1巻以来の久々の長編。病弱な若旦那の一太郎が、箱根に湯治に行くことになりました。 「箱根に行くくらい、簡単だろう」って? このシリーズを読んでいる人なら、日本橋の外へでることもままならない一太郎が、箱根へ…

ゲド戦記6 外伝(ル=グィン)

「外伝」というから、ゲドや仲間たちが活躍したエピソードの数々が収められていると思ったら、そういう話はひとつだけ。(『湿原』)。作者が作り上げたアースシーの世界を、より理解するための1冊となっています。5つの短編と巻末の「アースシー解説」か…

ゲド戦記4 帰還(ル=グィン)

「3部作」と言われていたシリーズの、16年後に書かれた第4部。16年のブランクは、シリーズの思想を、根本から変えてしまいました。 作者は、3巻までの「魔法の世界」を壊そうとしているかのようです。問われているのは「世界にとって魔法は善きことな…

ゲド戦記3 さいはての島へ(ル=グィン)

ジブリによる映画化は、この巻をメインとしたストーリーだそうです。「ネタばれ」を含むので、映画を見ようとしている人は読まないでください! テナーとともに「平和をもたらす腕輪」を持ち帰ってから25年後、壮年期を迎えたゲドは「大賢人」として魔法の…

ゲド戦記2 こわれた腕輪(ル=グィン)

魔法使いゲドの生涯とアースシー世界の光と闇を描く物語の第2巻。 第1巻で自らの影におびえる少年だったゲドは、青年になっています。「平和をもたらす腕輪」の片割れを求め、異教の島に乗り込むのですが、そこで暗黒の地下迷宮を支配する大巫女アルハに囚…

アッコちゃんの時代(林真理子)

「秘密のアッコちゃん(古い~)」かと思ったら、全然違ってました。80年代末~90年代初のバブル期に、「時代の寵児」であった女性をモデルにした、ノンフィクションに近い小説だそうです。 「地上げの帝王」と称される男の愛人となり、有名レストランの…

ママは悪魔ハンター(ジュリー・ケナー)

ケイトはカリフォルニア州サン・ディアブロに住む専業主婦。地方公選弁護人になるべく選挙活動中の弁護士を夫に持ち、14歳の娘と3歳の息子の2児の子育てに多忙な普通の主婦。でも、ただひとつ違っていたのは、奥様は「悪魔ハンター」だったのです・・。 …

陽気なギャングの日常と襲撃(伊坂幸太郎)

映画化もされた伊坂さんのヒット作の続編です。 天才強盗4人組は、今回も健在。人間嘘発見器・成瀬は、刃物男騒動の影で起こった強盗事件に遭遇。演説の達人・響野は、消えてしまった「幻の女」を捜索。体内時計の持ち主・雪子は、同僚に届いた謎の招待券の…

ドラママチ(角田光代)

人生のどこかで、立ち止まってしまったままでいる女たち。「こんなはずじゃなかったのになぁ」と思いながら、皆そこから一歩を踏み出すための「何か」を待っています。 その「何か」とは、人それぞれ。妊娠、恋愛、プロポーズ、ドラマチックな出来事・・。待…

輝く日の宮(丸谷才一)

『源氏物語』の1巻として実在したかもしれない「輝く日の宮」の巻。森谷明子さんが「千年の黙(しじま)]」で同じテーマを扱っていました。そちらでは、この1巻が失われた謎を紫式部自身に解かせていたのに対し、こちらはなんと紫式部とシンクロした主人公…