りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

県庁の星(桂望実)

イメージ 1

織田祐二と柴崎コウの主演で映画化された話題作です。県庁に勤めるエリート役人が民間との人事交流研修に出た先は、めちゃくちゃローカルの冴えないスーパーマーケット。

役所用語と人脈の間の遊泳術で完璧に武装したエリートも、マニュアルも組織図もないスーパーでは、全く役に立ちません。彼の「大勘違い野郎」ぶりには、指導にあたる「スーパーの裏店長」ことパートの二宮さんでなくても、あきれてしまいます。

映画では柴崎コウが演じて女性としても魅力的な二宮さんですが、原作では40歳すぎで小太りの中年のオバサンという設定でした。映画では恋愛を予感させるような場面もあったのでしょうが、これでは最初から無理ですね。

さて、「県庁さん」は仲間やお客さんを大切にすることを学び、一方で保健所や消防署から指導に入られてしまったスーパーは、「県庁さん」のマニュアル作成能力に助けられて危機を乗り切って、きれいに「官民融和」が達成されるという、お約束のエンディングですが、これって綺麗すぎ。ちょっと現実味に欠けています。

でも、こういう映画や本が売れてるってことは、お役所の内部改革の必要性を、みんなが感じてるってことなのでしょう。だって、時折摘発されて明るみに出されるずさんな自治体経営や、第3セクターに積み上げられて放置されている巨額の赤字の存在には、あまりにもひどいものがありますから。

2006/8