りぼんの読書ノート

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ヘンリーの悪行リスト(ジョン・スコット シェパード)

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冴えない中産階級出身のヘンリーは、憧れていた上流階級のお嬢様エリザベスを高校卒業パーティに誘って、夢見心地で愛し合う! ところがその直後、エリザベスは、彼をこっぴどく捨てたのです。

それ以来、ヘンリーの生きる目的は、彼女を見返すことになりました。10年後、他人を騙し、裏切り、蹴落とし、会社買収のプロとして「暗殺者」の異名を持つスーパー・エリートとなったヘンリーですが、故郷に戻った彼を待っていたのは、エリザベスは既に亡くなっていたという事実。しかも当時彼女は、死期が近いことを悟っていたという手紙だったのです。

悪行への呵責と絶望感に押しつぶされて飛び降りようとするヘンリーに、ホテルのメイドが声をかけます。「きっちり片をつければいいのよ」。ヘンリーは、心理学の学生というアルバイトメイドのソフィーとともに人生をやり直すための贖罪の旅に出かけるのですが・・。

作者はハリウッド映画の脚本家であり、本書も映画化されるとのこと。そのせいか、テンポも歯切れもよくお洒落なセリフがいっぱいあって、アクションも笑いもホロリの場面も散りばめて良く出来た物語なのですが、ご都合主義が目立ちます。ヘンリーが利用して捨てた女性や、策略で陥れた相手もまた、自分の人生をやり直すきっかけを待っている状態で、ヘンリーの贖罪が、タイミング良くそのきっかけになってしまうなんて。^^;

でもいかにもハリウッド映画らしく、最後の見せ場もあるのです。それは、ソフィーもまた自分の経歴を偽っていて、ある種の贖罪を待っている女性だったということ。

もちろんハリウッドのヒューマン・コメディ路線そのままですから、バリバリのハッピーエンドが待っています。底は浅いかもしれませんが、手軽に楽しめた一冊でした。^^

2007/4