りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

悪党どものお楽しみ(パーシヴァル・ワイルド)

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楽しい作品でした。賭博師稼業から足を洗い、農夫として質実な生活を送っていたビルが、ギャンブル好きでお調子者の友人トニーに担ぎ出され、凄腕いかさま師たちと対決して巧妙なトリックを暴いていく物語。ビルは、トニーの妻で愛らしいミリーから頼まれると断れないのです。実は一番賢いのは、ミリーなのかも。

「シンボル」
全編のプロローグです。18歳で家を飛び出して賭博師生活を送っていたビルが、なぜ家に戻って父の後を継いで農夫になったのか。ビルはなぜ、生涯を賭けたゲームで、素人の父親に負けたのでしょう。

「カードの出方」
ビルが助けた、田舎道の溝にはまった車を運転していたのがミリー。これが運命の出会いでした。彼女はビルに、いかさまポーカーに嵌っている夫トニーを救って欲しいと頼むのです。

「ポーカー・ドッグ」
ニューヨークでいかさまポーカーに嵌った友人を助けようとして、自分も深みに嵌ってしまったトニーを、ビルが救出に向かいます。相手のいかさまを見抜くためにビルが使ったのは、一匹の犬でした。

赤と黒
トニーが属するヒマラヤクラブで、ルーレットで負け続けていたのは、嫌われ者のホイットニー。こんな者でも助けようとしてビルに依頼するトニーは、お人よしすぎます。赤と黒を完全にコントロールできるというルーレット盤に仕掛けとは何だったのでしょう。

「良心の問題」
やはりトニーが属する名門クラブで、裕福な老人が貧乏な青年に、カードゲームで負け続けているのは、いかさまなのでしょうか。実はいかさまを仕掛けていたのは、意外な人物だったのです。

「ビギナーズ・ラック」
ビルも一目おくポーカープレイヤーのいかさまを見抜いて欲しいという依頼に、ビルはトニーを送り出します。しかもビルの名前を名乗らせて。実は依頼者こそがいかさま師だったのですが、トニーの間抜けぶりが見事すぎます。妻のミリーは全部わかっていたようですが。

「火の柱」
なんとビリーがビーチ・ポーカーでど素人に大敗。もちろん、意外ないかさまが仕組まれていたのです。

「アカニレの皮」
チェスでいかさまなんて可能なのでしょうか。クラブの嫌われ者を追い出すため、最弱プレーヤーに勝たせようと、ビルがいかさまを仕掛ける側に回ります。

「堕天使の冒険」
見よう見まねで素人探偵役を務めるトニーでしたが、やはり無理でしたね。やっぱり最後にはビルが登場して、ブリッジに仕掛けられたいかさまを見抜くことになるのです。

2017/10