前作『カジノを罠にかけろ』でデビューした、62歳のカジノ・コンサルタントのトニーが活躍する、シリーズ第2弾。アトランティック・シティの刑事として定年まで勤め上げ、カジノの不正行為を取り締まっていたトニーは、現役時代に鍛え上げた技を生かして今度はカジノに雇われ、イカサマ師たちのカジノ破りを見破るのが現在のお仕事。
今回の物語は、前作と較べてかなり物騒で荒っぽくなっています。冒頭から、今は同業についている刑事時代からの旧友が殺害されてしまうのですから。彼はあるカジノの依頼で、被害総額600万ドルに及ぶイカサマを調査していて、怪しげなヨーロッパ人グループに目をつけていたところだったのです。
このヨーロッパ人グループは数学の天才で、映画「ラスベガスをぶっつぶせ」でも使われたカウンティングという技を凌駕する技でイカサマを働いていたのですが、彼らが稼いだのはせいぜい100万ドルで、しかもカジノから「黙認」されていたというのだから不思議です。
どうやら、彼らをダシにしてもっと悪質で大掛かりなサギが行なわれているようなのですが、犯人の正体も動機も手口も、全く予想のつかない意外なものでした・・。カジノのオーナーだって、従業員に信頼されていないといけないようです。
主人公のトニーが、老いてもなお元気でいいですね。女子プロレスラーと格闘しちゃったり、近所の同年代の未亡人メイベルとつきあうのかと思っていたらもっと意外な相手と恋愛してしまったり、さらには成り行きでもっと意外な職業につくことになったりしちゃうのですから。
唯一の悩みは父親の稼いだ金を失うことしか脳のないダメダメ息子なのですが、しっかりした嫁も見つかったようで、老後も安泰ということでしょうか。続編も出ているのですが、まだ邦訳はされていないようです。
2008/12