戦後に新聞小説として執筆されましたが、もとになっているのは、太宰の読者であった木村庄助氏が戦中に綴った病床日記です。
主人公は、20歳の青年ヒバリ。「健康道場」という風変りな結核療養所で闘病生活を送りながらも、周囲の人々と交流していく様子が、なぜか明るいのです。閉鎖された空間ですから狭い社会なのは仕方ありませんが、友人に宛てた書簡は、ほとんど看護婦さんとの恋愛談義。自分を「新しい男」と称して大人ぶっているものの、初々しい子供っぽさすら感じさせます。
手紙ではオバサンっぽく描かれるものの、実は絶世の美女だった竹さんと、不良少女のように描かれながら、実は純情少女だったマー坊との、精神的な三角関係を通して、ヒバリは成長していくのですが・・。
2016/2