りぼんの読書ノート

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岳飛伝 9(北方謙三)

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ついに南宋梁山泊攻撃が始まりました。韓世忠の率いる水軍が、梁山泊海上物資集積所である沙門島を急襲したのです。でもそれは想定内。老いた孫二嬢が沙門島と運命をともにする道を選んだものの、集積所は既に空だったのです。

その報復として、即座に史進の遊撃隊が、南宋の首都・臨安府を長躯して奇襲。禁軍総帥・劉光世を打ち取り、南宋皇帝を恐慌させたものの、これはまだ前哨戦。自由市場の締め付けを強化する南宋に対して、水軍の封鎖を破る長江制圧戦が始まろうとしています。

陸戦を受け持った金国元帥・兀朮は、呼延凌の部隊と対峙しますが、互いに動けないままでいるうちに、金国丞相・撻懶が病死。内政の乱れが懸念される中で、いきなり金の物流を担っていた豪商・簫炫材が幽閉されてしまいます。金国では麦と銀が、南宋では米がどこかに消えていくのは、梁山泊統轄・宣凱の遠大な計画なのでしょうか。子午山を下りた蔡豹や王清も、その仕組みの中にいるようです。

南方では、南宋の辛晃将軍が5万の兵力で大理国に入ったのを見据えて、秦容軍と岳家軍の防衛戦の準備が進んでいます。西藏(チベット)の山岳傭兵の襲撃を受けた秦容は、逆に彼らを取り込もうと試みます。

膠着状態はどこで破れるのでしょうか。撻懶の死期や死因などは、史実と微妙にずれているようです。金の海陵王即位と、長江制圧戦と、南方での死闘と、何がどういう順番で起こっていくのか、「北方ワールド」はクライマックスに入っていくようです。

2015/5