りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

岳飛伝 12(北方謙三)

イメージ 1

梁山泊水軍総帥の張朔との決戦に敗れた後の韓世忠は、南宋宰相の秦檜からも見放されたようで、ほとんど海賊状態ですが、梁山泊の商船を何艘も沈めるようでは捨て置けません。実戦から遠ざけられていた李俊が、韓世忠退治に名乗りを上げます。水軍の次の焦点は、南宋水軍の拠点とされた沙門島になるようです。

南方では、岳飛と秦容がついに北進を決意したようです。南宋の南の拠点である景隴に籠る辛晃軍5万に対する緒戦は、どのように決着がつくのでしょう。そうそう、秦容は戦闘に先立って、高山の部族出身の公礼を妻に迎えていました。

本書でもまた、ひとりの老雄が消えていきます。南宋内部で長く実権を担ってきた諜報機関の青蓮寺を延命させているのは、美魔女・李師師の執念だけのようです。南宋宰相の秦檜によって滅ぼされようとする時、かつて敵味方ながら李師師と惹かれあった浪士・燕青が立ちはだかるのですが・・。

金国内では、ついに海陵王による政変が起こります、叔父にあたる兀朮は、海陵王の勝手を抑えつけながらも、皇位簒奪を黙認。海陵王に対する歯止めは、どの時点でどのようにして外れるのでしょうか。そんな中で、金国北辺の守りについていた、かつて幻王・楊玲軍の指揮官であった耶律越里の病が篤くなります。熱に浮かされた中で、彼を見舞った兀朮の養子・胡土児を幻王と呼んでしまいます。

ついに実父を知った胡土児ですが、養父との結びつきが揺らぐことはないでしょう。政変が起きた金において、胡土児の存在がクローズアップされていきそうです。

2015/11