りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

弥次喜多化かし道中(桑原水菜)

イメージ 1

多摩の大国魂神社に住むタヌキと、谷保天神のキツネは宿命のライバル。年に一度の暗闇祭りの夜、化け相撲で敗れたほうが「けもの汁」の具として奉納されてしまうという、命がけの関係。そんな運命から逃れるために、美きつね・弥次郎兵衛と若たぬき・喜多八は、神様にお願いして本物の人間にしてもらおうと、人間に化けて伊勢へと旅立ちます。

旅の常識どころか、人間界の常識も知らないキツネとタヌキの「弥次喜多」の二人旅は、オリジナルの『東海道中膝栗毛』を超える珍道中。お銭を払うことは知らなくても、木の葉を小判に変えることなど朝飯前。ときどき尻尾を隠し忘れるけれど、絶世の美女にだって化けられる。

保土ヶ谷宿では、浮世絵師として独り立ちを目指している火消同心の安藤広重を助けて、盗まれた御馬様を盗賊から奪い返す大活躍。小田原では双子姉妹の旅籠の跡継ぎ騒動に巻き込まれ、箱根では反対に人間に化かされる。といっても、箱根の話は尻切れトンボで、何のことやらよくわかりません。本書はここで終了なのか、気を取り直して伊勢まで続くのかも、謎のまま。こんな状態で出版しては、読者に失礼でしょう。

2015/5