りぼんの読書ノート

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豆腐小僧その他(京極夏彦)

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豆腐小僧双六道中ふりだし豆腐小僧双六道中おやすみの間に書かれた姉妹編の舞台は現代です。

豆腐小僧のことを思って豆腐小僧を出現させたのは、妖怪好きの少年でした。彼の母親は天候コントロール技術の完成を目指す技術者なのですが、成果を横取りしようとするたくらむタヌキ憑きの強欲社長と、完成を阻もうとするキツネ憑きの環境テロリストたちが起こす混乱に巻き込まれてしまいます。人間社会での抗争が妖怪社会での勢力争いとリンクする中で、無力なヘタレ妖怪である豆腐小僧が事態を収拾してしまうというのは、姉妹作品と同じ展開。はっきり言って新味はありません。

他に、オリジナル狂言である「豆腐小僧」、「新・死に神」、「狐狗狸噺」に、落語スタイルの「死に神remix」が収録されています。京極さんの語り口調は落語向きのように思えますが、余計な説明を剥ぎ取った狂言スタイルのほうに格調の高さを感じます。

2014/1