りぼんの読書ノート

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岳飛伝 14(北方謙三)

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いよいよ物語が大きく動き始めました。南方で勢力を蓄えた岳家軍と、小梁山の秦容軍が、ついに南宋へと軍を動かします。南宋大理国の国境を抜けた巴蜀の地・成都に拠点を定めた後、岳飛は点で動くようにして沿岸の温州へ。秦容は長江に沿っての線を制圧しながら中原へと向かいます。

両軍を迎え撃つ南宋軍総帥・程雲は、6万の軍勢を臨安府の西に配置すると同時に、1万の軍勢を巧みに埋伏して、岳飛を狙う戦いに徹しようとしています。その一方で南宋宰相・秦槽は、国境に配置した許定と水軍の総力を連携させて、南方の居留地を攻撃する策を練っています。梁山泊水軍総帥の張朔との水戦、5万の留守軍を率いる潘寛との陸戦は必至です。

南宋と不戦協定を結んだ金国は、ついに梁山泊への総攻撃を決意。次巻あたりで呼延凌と兀朮の再戦がありそうですが、海陵王が絡んでくる戦闘は、以前とは異なった様相を見せることになりそうです。梁山泊と距離を取っていた王清は、ついに日本まで流れてきました。そこで李俊と再会するのですが・・。

新しい世代も登場しつつあります。韓成の息子・韓順は、蕭炫材の息子・蕭シュウ材とともに諸国を見聞中。かつて顧大嫂に連れられて西域まで旅をした宣凱、王貴、張朔が、梁山泊の「今」を担っていることを彷彿とさせます。南方では、秦容の子・秦輝が生まれたばかりですが、物語はそこまで続くのでしょうか。

やはり気になるのは、楊玲の息子・胡土児の行く先です。史進から吹毛剣を受け取り、自らの出自を知った胡土児は、北方の守りについて蒙古と対峙。吹毛剣を梁山泊に向けて用いるわけにはいきませんからね。胡土児はチンギスハンよりも30歳ほど年上ではないかと思えるのですが、ひょっとして何らかの関係を持つことになるのでしょうか。まさか「源義経=チンギスハン」説の焼き直しではないでしょうね。

2016/4