りぼんの読書ノート

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岳飛伝 13(北方謙三)

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金国皇帝の座に就いた海陵王が、中国全土を掻き乱そうとしています。

梁山泊の「魂の故郷」ともいうべき子午山に向かって禁軍一万騎を動かした際は、そこで育った九紋龍史進の逆鱗に触れて一瞬のもとに蹴散らされたものの、南宋への野望を隠そうともしません。ついに南進を始めたものの、南宋の総帥となっていた程雲に阻止されます。ギリギリのところで海陵王を救出した叔父の兀朮との関係は、どうなっていくのでしょう。

67歳になったという史進だけでなく、もうひとりの長老・李俊も元気です。老体とは思えない活躍で。沙門島南宋水軍拠点を奪回し、ついに長年思いを寄せていた瓊英が待つ日本の十三湊の商館へと向かうのですが・・。まさか、このままフェイド・アウトしてしまうのでしょうか。

西遼では顧大嫂がついに引退。土理緒らの部族連合軍を招集し、1年と期限を切って東方の守りを固めさせたのは、金と南宋の間に大きな動きが起こるとみたためでしょうか。帝位についた耶律大石の息子・夷列を、韓成と郤妁の息子・韓順が友人として補佐するという形ができあがりそうです。

大理に駐屯していた南宋の辛晃軍を壊滅させた岳飛と秦容が、ついに南方を出て中原へと向かおうとしています。梁山泊の「替天行道」も、岳飛の「盡忠報国」も、ともに「民」を中心にした「志」であると理解しあった2人が行動を起こす時、物語はどう展開していくのでしょう。

梁山泊の内部では、聚義庁の統括である宣凱を、対等の立場で王貴が支え、軍総帥の呼延凌と、水軍総帥の張朔が軍事を担うという体制ができあがっています。そこに岳飛と秦容はどう関係してくるのか。まだ流浪中の王清はどういう人生を歩むのか。史実では、海陵王は南宋遠征に失敗して廃位されることになっていますが、本書では異なるのかもしれません。

2016/4