ハンガリーの作家による、すべて「女がいる」ではじまる97編の断章からなる作品です。
「僕を愛している女」と「僕を憎んでいる女」がいるのですが、彼女らは同一人物かも別人かもしれないし、恋人か母親かもしれないし、最後の頃になってくると性別すら定かではなくなってきます。ひょっとしたら、最初から最後まで、自分自身のことを綴っているだけなのかもしれません。
エロティックに、グロテスクに、ユーモラスに、時にブラックに綴られる各断章のそれぞれに、脈絡がありそうでなさそうで・・。要するにとらえどころがないのです。
ハンガリーの歴史に触れる箇所もあるのですが、そういうトーンで貫かれているわけでもない。ひょっとして、ハンガリー語の原文には、もっと多義性があるのかもしれませんが、正直言ってよくわかりません。この種の作品は、得意ではないのです。
2015/4