りぼんの読書ノート

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平成お徒歩日記(宮部みゆき)

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江戸時代のコンセプトに従って、平成の世を徒歩で歩き回るという形の「旅日記」。半年ごとに行なわれていた雑誌の企画なのですが、もう10年以上も前のことなんですね。

登場人物は「ミヤベ」に加えて、さまざまなニックネームをつけられた雑誌社の方々。あるときは赤穂浪士が討ち入り後にたどった泉岳寺までの道を歩き、あるときは箱根の関所越え、あるときは江戸市中の罪人引き回しルートをたどり、あるときは本所七不思議を廻るかと思うと、お伊勢参り島流し先の八丈島を歩きます。

年に2回というのは、真夏と真冬。暑さにも寒さにも締切にも病にも負けず、「ミヤベ」はひたすら歩いて道中日記を書くのですが、この本は決してガイドブックにはなりません。ところどころ垣間見える薀蓄は別とすれば、ここに書かれているのは「ミヤベ」率いる一行がどのように徒歩の旅を苦しみ、かつ楽しんだかのお話です。そういう意味では、「ミヤベ」というのも、宮部みゆきさんが作り出したキャラなのかも。^^

薀蓄部分から見えてくるのは、江戸時代の雰囲気です。それにしても、箱根の関所破りで死罪となった人は江戸時代を通じて6人しかいなかったとは知りませんでした。

2008/8