りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

天下御免1~3

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年末の大掃除と、TV特番と、正月の準備の合間、今年の読み納めとしたのは、35年前に驚異的な人気を誇ったという、傑作時代劇のシナリオでした。

主人公は「早く生まれすぎてしまった男」、平賀源内。時は享保徳川時代、藩とか武士という枠組みをサラリと投げ捨て「自由人」となり、四国の讃岐から、長崎、江戸、蝦夷をまたにかけて繰り広げられる、痛快無比の物語。

源内を演じるのは若き「山口崇」。相棒の剣豪・右京乃介が「林隆三」で、改革の同士的存在である杉田玄白が「坂本九」。源内を慕うヒロイン・紅は「中野良子」。他のレギュラー陣としては、田沼意次仲谷昇)、紅の弟・八幡(山田隆夫)、庶民派泥棒・稲葉小僧(秋野太作)などがいて、他にも片岡孝夫ハナ肇谷啓伊東四郎太地喜和子三遊亭圓生伴淳三郎などが入れ替わり立ち代り登場する、豪華キャスト。 そしてナレーターに水前寺清子

演出もテーマも、当時としては斬新です。海防問題、アイヌ独立、蘭学など時事問題のみならず、公害、ゴミ問題、受験地獄など、放送当時の社会問題までを幅広く取り上げ、蝦夷地の場面に札幌オリンピックを重ねるなど現代の映像も取り入れたりして、やりたい放題なんですね。

ただし、源内は「生まれてくるのが早すぎた男」なのです。彼の時代にはまだ、日本の夜明けは訪れません。源内を理解して開放政策を推進する者として、普通は悪名高い田沼意次を登場させて、ほのかな灯りは見せてくれるものの、守旧派である政敵による意次の失脚とともに「江戸の春」は終わりを告げてしまいます。

じゃあ、源内はどうなっちゃったって? 獄死したと伝えられる源内ですが、最終回ではなんと気球に乗って日本を脱出。そしてラストシーンで流れる「ラ・マルセイエーズ」。フランス革命に登場しちゃうようです。^^

これ、リアルタイムで見たら面白かったろうな。当時のフィルムもビデオもほとんど破棄されてしまっているというのは残念です。

2007/12
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