りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

悠久の窓(ロバート・ゴダード)

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主人公がパレオゴロス一族というので読んでみました。1453年にオスマン帝国によって滅亡させられたビザンチン皇帝の末裔です。

イギリスの片田舎に移住してひっそりと生きのびていた一族に、農園の邸宅を破格の値段で買い取りたいとの提案が持ち込まれます。由緒ある教会の失われたステンドグラスが、農家の壁に隠されているらしい。ところが、頑固な老父がこの提案を断った途端に、老父も長兄も、更には長兄の長男まで次々と不審死。更には、その提案も架空のものだったということで、主人公(老父の3男)とともに、読者もすっかり訳がわからなくなってしまいます。

ネタバレですが、秘密は主人公の失われた記憶にありました。そんな仕掛けで読者を惑わせるのか(笑)。ある意味で「信用ならざる語り手」の手法ですよね。途中までは「秘密が存在しないことが秘密か?」と思わせておいて、「とんでもない秘密」が掘り当てられるのですが、そこまで言ってしまっては、言い過ぎでしょう。

ある意味「ダ・ヴィンチ・コード」に似ているかもしれません。「ビザンチン帝国の末裔」を持ち出してきた発想が生きました。ところで、清朝皇帝の末裔に伝えられている「秘密」あたりで中国版「ダ・ヴィンチ・コード」でも書けないものでしょうか。それよりも、日本バージョンのほうがいいかな。まだ、神武天皇の末裔が生存していますし。^^

2005/8