りぼんの読書ノート

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ピラミッドロゼッタの鍵(ウィリアム・ディートリッヒ)

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1799年。エジプトを蹂躙したナポレオンはトルコ支配下パレスチナへと軍を向けます。対するイギリスはシドニー・スミス代将率いる海軍をトルコの防衛に差し向け、ここに「アッコ攻囲戦」が始まります。

本書は「中東の皇帝」たらんとしたナポレオンの野望が潰えた歴史上の戦いを背景に、フランクリンの弟子であったアメリカ人の主人公イーサン・ゲイジが、ロゼッタ・ストーンを手がかりにしてフリーメーソンが伝える「古代の叡智」を追う物語。

イーサンに対するのは、ナポレオンと行動をともにする宿敵シラノ伯爵であり、イーサンがエジプトで出会った運命の女性アスティーザは、どうやらシラノに囚われてしまった模様。彼女は古代エジプトの女神イシスに仕える神官であり、やはり秘密の一端を握っているのです。

ダ・ヴィンチ・コードの大ヒット以来、古代の秘密を探る物語は出尽くした感がありますが、近代を舞台にして歴史上の人物や出来事を織り込んだところが少々目新しい点かもしれません・・でもないか。^^

物語はよくできているのですが、ハリウッド映画を意識したような派手な展開が鼻についてしまいます。結局、「古代の叡智」も何だかわかりませんでしたし。著者は、アラスカ沖タンカー原油流出事故の報道でピュリッツァー賞を受賞した元ジャーナリストなんですけどね。

2012/1