『南仏プロヴァンスの12か月』に出てくるパスティスというリキュールの語源は、アブサンが禁止された際の代用品という意味だそうです。芸術におけるパスティーシュと同じ言葉だとは知りませんでした。本書は円熟期に入った書き手による「思わずにやりとする」パスティーシュ短編集です。( )内はオリジナル作品。
「カレー失踪事件」(コナン・ドイル「シャーロック・ホームズ」)
妻が出張から帰ると、カレーを作って待っているという夫が失踪していました。推理好きの夫の友人が解決するのですが、知られて欲しくないことまで当てられてしまうのは嫌なものです。
妻が出張から帰ると、カレーを作って待っているという夫が失踪していました。推理好きの夫の友人が解決するのですが、知られて欲しくないことまで当てられてしまうのは嫌なものです。
「新しい桃太郎のおはなし」(童話「桃太郎」)
「桃太郎=侵略者」バージョンを、さらにひとひねりすると、どうなるのでしょう。
「桃太郎=侵略者」バージョンを、さらにひとひねりすると、どうなるのでしょう。
「国際動物作家会議」(ケストナー「動物会議」)
「すぐに戦争を始めようとする人間にあきれた動物たちが平和会議を開く」原典は、いま読みたい絵本だそうです。直後にオーウェルの『動物農場』を読んでしまったので、微妙な感じなのですが。
「すぐに戦争を始めようとする人間にあきれた動物たちが平和会議を開く」原典は、いま読みたい絵本だそうです。直後にオーウェルの『動物農場』を読んでしまったので、微妙な感じなのですが。
「ゴドーを待たっしゃれ」(ベケット「ゴドーを待ちながら」)
文語調でシェイクスピアを翻訳した坪内逍遥氏の文体で、近代演劇の問題作を意訳したらどうなるのでしょう。著者は「これほど強烈な逍遥文体でも、もとの戯曲の世界観がまったく揺るがないことに、心底驚き敬服した」と述べています。
文語調でシェイクスピアを翻訳した坪内逍遥氏の文体で、近代演劇の問題作を意訳したらどうなるのでしょう。著者は「これほど強烈な逍遥文体でも、もとの戯曲の世界観がまったく揺るがないことに、心底驚き敬服した」と述べています。
2019/4