りぼんの読書ノート

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まほろ駅前狂騒曲(三浦しをん)

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物語の舞台は、あきらかに著者が生まれ育った町田をモデルとしている東京南西部の大きな町。その駅前で便利屋を営む多田と、居候の行天という、2人のバツイチ男たちが騒動に巻き込まれるシリーズの第3弾は、完結編となったようです。

今回の騒動の発端は、行天の別れた妻が海外研修の間、4歳になる娘のはるを預かってほしいという依頼でした。自分の子供時代の体験から子供嫌いとなり、まして自分の実子など目を合わせることも恐れている行天に秘密で仕事を引き受けることになった多田ですが、果たしてその顛末は?

一方で多田は、夫の遺品整理を頼まれたことから知り合った、飲食チェーンの女社長・柏木亜沙子に強く惹かれていたのですが、2人の関係は進展するのでしょうか。これに無農薬野菜を生産販売する謎の団体や、まほろの裏社会を仕切る星、バス会社の間引き運転を疑っている岡老人、入院中の曾根田のばあちゃん、生意気小学生の由良などの常連メンバーが絡んで、騒動はますます広がっていくのです。

本書で描かれるのは「家族の問題」ですね。家族だからこそ見過ごせない問題と、見ず知らずの関係が疑似家族となり、やがて本当の家族になっていく過程には、老人2人組みの関係性が秀逸だった政と源」と共通するものを感じます。

このシリーズは、瑛太松田龍平のダブル主演で映画化、ドラマ化されました。なお、本書の事件前のエピソードである「サンタとトナカイはいい相棒」が併録されています。

2018/10


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