今回の悪役はハイエナ記者の火尻。アイドルの裏情報や、事件被害者のプライバシーや、証拠のない誹謗中傷ネタなどを週刊誌に売って煽り立てる、典型的なマスコミ悪なのです。ホテルで暴漢に襲われた火尻を助けた久遠は、ふとしたはずみに銀行強盗一味であると感づかれてしまいます。やがてギャングたちは、当たり屋、痴漢冤罪などの事件に巻き込まれ始め、次第に追い詰められていくのです。そして絶体絶命のカウントダウンが開始されるのですが・・。
火尻が借金を抱えた裏カジノ一味や、最初に火尻を襲った暴漢一味や、アイドルの宝島沙耶らが入り乱れる展開に加えて、機知に富んだ会話が魅力のシリーズです。逃亡した猛犬や、仮死状態になる薬や、難病治療のカンパを集める親子や、当選したサッカーくじや、裏カジノ屋の亀や、雪子の長男が付き合っているという女性など、伏線もしっかり収まっていくのが、著者の魅力ですね。
著者にとって唯一の3冊目となるシリーズです。が、冒頭でギャングたちが銀行強盗をするシーンがありますが、彼らももう引退なのでしょう。4作目があるとしたら、全く違うプロットになっていくのかもしれません。
2017/11