りぼんの読書ノート

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陽気なギャングは三つ数えろ(伊坂幸太郎)

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伊坂さんの作品を連続して読んでいるのは、彼の存在をすっかり忘れていたからなのです。「騎士団長殺し」メッタ斬り!で、村上春樹エピゴーネンとして唯一褒められていたので、思い出した次第です。

 

本書は陽気なギャングが地球を回す陽気なギャングの日常と襲撃の9年ぶりの続編です。人間嘘発見器の成瀬、演説の達人の響野、天才スリの久遠、正確な体内時計を持つ雪子の4人組が再登場。

 

今回の悪役はハイエナ記者の火尻。アイドルの裏情報や、事件被害者のプライバシーや、証拠のない誹謗中傷ネタなどを週刊誌に売って煽り立てる、典型的なマスコミ悪なのです。ホテルで暴漢に襲われた火尻を助けた久遠は、ふとしたはずみに銀行強盗一味であると感づかれてしまいます。やがてギャングたちは、当たり屋、痴漢冤罪などの事件に巻き込まれ始め、次第に追い詰められていくのです。そして絶体絶命のカウントダウンが開始されるのですが・・。

 

火尻が借金を抱えた裏カジノ一味や、最初に火尻を襲った暴漢一味や、アイドルの宝島沙耶らが入り乱れる展開に加えて、機知に富んだ会話が魅力のシリーズです。逃亡した猛犬や、仮死状態になる薬や、難病治療のカンパを集める親子や、当選したサッカーくじや、裏カジノ屋の亀や、雪子の長男が付き合っているという女性など、伏線もしっかり収まっていくのが、著者の魅力ですね。

 

著者にとって唯一の3冊目となるシリーズです。が、冒頭でギャングたちが銀行強盗をするシーンがありますが、彼らももう引退なのでしょう。4作目があるとしたら、全く違うプロットになっていくのかもしれません。

 

2017/11