りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

鬼平犯科帳 4(池波正太郎)

イメージ 1

シリーズ第4作では、重要な密偵が新たに登場します。ひとりは平蔵が放蕩をしていた頃に入り浸っていた本所の居酒屋「盗人酒屋」の娘、おまさ。父の亡き後、盗賊の一味となっていたおまさでしたが、少女時代から恋心を抱いていた平蔵と再会して、自ら進んで密偵となります。

もうひとりは本格派の大盗・蓑火の喜之助の手下として修業を積んだ後に独立して、親分となっていた大滝の五郎蔵。盗賊仲間の裏切りに嫌気がさしていた所で平蔵に捕われ、あっさりと密偵となってしまいますが、かなりの大物です。

「霧の七郎」霧の七郎は死罪にされた兄・梅吉の恨みを晴らすため、刺客を雇って平蔵の息子を殺す依頼をしたのですが、この刺客はとんでもない変わり者でした。

「五年目の客」羽佐閒の文蔵の一味で引き込み屋の江口の音吉が泊まった丹波屋の女房お吉には、女郎時代に音吉から50両を盗んで逃げた過去がありました。お吉を使って丹波屋に押し込みを謀とうとした音吉でしたが・・。

「密通」平蔵の妻・久栄が嫌う鼻持ちならない性格の伯父・天野彦八郎からの依頼は、金を盗んで逃げた使用人を内密に探して欲しいというものでしたが、その話には裏があったのです。

「血闘」盗賊一味に捕まって廃屋に押し込められた女密偵のおまさを案じた平蔵は、遅れている応援を待ちきれず、身の危険を承知で単身で廃屋に飛び込みます。初登場のおまさと平蔵には因縁があったんですね。

「あばたの新助」真面目な同心・佐々木新助の浮気相手は盗賊の一味でした。その頃、火付盗賊改方の巡回区域から外れた場所を知っているかのように、平蔵らの裏をかいて犯行を繰り返す盗賊が出没して・・。

「おみね徳次郎」網切の甚五郎の手下である徳次郎は、一時的に女房としたおみねの始末を思案していましたが、おみねも同業者で法楽寺の直右衛門の手下だったのです。

「敵」大親分となった大滝の五郎蔵は、彼を親の敵として狙った若者を返り討ちにしたのですが、なぜそんな噂があるのか不思議でなりません。その裏には、かつて袂を別った卑劣な盗賊・小妻の伝八の陰謀があったのです。

「夜鷹殺し」夜鷹が相次いで殺される事件に義憤を覚えた平蔵は、おまさを囮にして事件解決に挑みますが、犯人と思しき人物は大身の旗本屋敷に逃げ込みます。果たして犯人の正体と動機は何だったのでしょう。

2012/4