りぼんの読書ノート

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GOSICK BLUE(桜庭一樹)

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新シリーズ2作めですが、時系列的には前巻のGOSICK REDよりも前になります。旧世界を巻き込んだ大戦を生き延びたヴィクトリカと久城一弥が、移民船に乗ってニューヨークに到達した日の物語。

2人はなぜか、新大陸で財を成した移民一世の女傑ラーガディアが建てた高層タワーのオープン記念パーティに参加させられてしまいます。女傑の孫息子で放蕩者のボンヴィアンが描くアメコミ「ワンダーウーマン」と相棒の中国系少年リンリンに、ヴィクトリカと一弥がそっくりだというのがその理由。

ところが、その高層ビルで爆破事件が起こるのです。狙いはラーガディアなのですが、聞けば聞くほど悪辣な手段でのしあがってきた女傑を恨む者は、数多くいそう。タワー最上階で女傑の成功物語に潜む嘘を見抜いたヴィクトリカは、コイントスで負けたことがないという女傑との対決に勝利できるのでしょうか。一方で彼女を救い出すために、地下の駐車場から高層タワーを昇っていく一弥は間に合うのでしょうか。そして爆破犯人は誰で、動機は何なのでしょうか。

ヴィクトリカと一弥が新大陸にやってきた経緯や、ヴィクトリカが仕事をする気のない探偵に、一弥が見習い新聞記者になっている理由も、本書で明らかになります。作中のアメコミ「ワンダーウーマン」に仕組まれた復讐の動機や、妙にヴィクトリカの運命に符合するダークなストーリーも楽しめる作品でした。マフィアやFBIとの対決は、次作から再開されるのでしょう。

2017/8