りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

GOSICK RED(桜庭一樹)

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旧大陸の架空国ソヴュールを舞台にしたオリジナルシリーズは、超頭脳を有するゴシック美少女・ヴィクトリカと、帝国軍人の三男ながら彼女に振り回されてばかりの久城一弥が、「2度目の嵐」に襲われた世界を生き延びて、再会を果たしたところで終了しています。

新シリーズの舞台は、1930年代初頭のニューヨーク。第二次大戦後に世界のリーダーとなった一方で、新移民の増加と禁酒法のもとでマフィアが勢力争いを繰り広げるという歪んだ世界では、新旧の闇もまた蠢いているようです。

大都会の片隅の移民アパートで共同生活をはじめた2人の関係は、どうやら「プラトニックな夫婦関係」のようですが、かなり微妙な感じです。ヴィクトリカは「グレイウルフ探偵事務所」を構え、一弥は見習い新聞記者として働いています。国際警察機関に勤める夫の武者小路についてきた一弥の姉の瑠璃も、息子の緑青とともにニューヨーク暮らし。本書ではほとんど登場しませんでしたが、ヴィクトリカの兄のグレヴィールは、なんとハリウッドで俳優になっている模様。

そんなある日、ニューヨーク暗黒街の黒幕であるガルボヴィクトリカのもとを訪れてきます。緑青を誘拐してまで強引に解決を求めた依頼内容は、売出し中の若いマフィアが次々と殺害されている謎の解明。全く異なる状況で、理由もないのに殺害された被害者たちは、一弥の新聞で紹介された者たちだったのです。

一方の一弥は、「心の科学で人々の精神的外傷を癒やす」という精神分析医・ポレイド博士のもとに取材に向かっていました。やがて全ての謎はひとつに繋がっていくのですが、それは恐るべき陰謀の前触れにすぎませんでした。

オリジナルシリーズで、ソヴュール王国のオカルト省と科学アカデミーがヴィクトリカの争奪戦を繰り広げていたように、マフィアとFBIが「旧世界の遺産」である2人の前に立ちはだかっていきそうですね。新シリーズの続編も楽しみです。

2017/7