大学時代には平凡な選手でしかなかった岸峰子は、彼女のマラソンへの適性を見抜いた小南監督によって一気に才能を開花させます。瞬く間に一流選手の仲間入りを果たし、ロンドンオリンピック選考レースも勝ち抜いたものの、大会直前に妊娠が発覚。代表辞退を余儀なくされた峰子は、日本中から非難を受けて引退。彼女を慕っていた後輩の活躍にすら、嫉妬を覚えて落ち込むばかり。
しかし峰子は、マラソンをあきらめられなかったのです。3年間のブランク、シングルマザー、30歳を超えた年齢という厳しい状況の中で、彼女はラストチャンスを掴むことができるのでしょうか。彼女は、今や実力と人気を兼ね備えて国民的アイドルともなった後輩選手や、やはり高年齢や故障を押して再挑戦するかつての金メダリストらとの勝負に挑みます。
めちゃくちゃ爽やかなスポーツ小説です。結婚、出産を経験した女性選手の復帰が難しいという厳しい現実を吹き飛ばすほどのパワーを感じた作品でした。飛行機の中で一気読みしてしまいました。実際のリオ五輪のマラソンの結果は、本書のようにはならなかったのですが・・。
2016/9