りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

暗黒女子(秋吉理香子)

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イヤミス」という言葉があることを知りませんでした。読んで「イヤーな気分になるミステリ」のことだそうです。「イヤミスの女王」として湊かなえさんの名前があげられていますが、確かに告白以来、別の作品を読もうという気にならないままです。

本書も「イヤミス」に分類されるのでしょう。キリスト教系の女子校「聖母女子高等学院」にある文学サークルを舞台に、カリスマ的な美しさと聡明さを備えた会長・白石いつみの死を巡る推理合戦が繰り広げられるという物語。6人の少女たちが朗読する自作の小説の中に、真実は潜んでいるのでしょうか。

貧しい家庭の出身ながら奨学生となった二谷美礼が書いた「居場所」。日本料理の名店に生まれ洋菓子作りを得意とする小南あかねが書いた「マカロナージュ」。ブルガリアからの留学生ディアナ・デチェヴァの「春のバルカン」。理系少女の古賀園子の「ラミアーの宴」。文学賞獲得した女学生小説家の高岡志夜が書いた「天空神の去勢」。5人ともそれぞれ、別人を犯人として名指ししていきます。

しかし最後に朗読した、いつみの親友で副会長の澄田小百合が語った真実は、想像を上回る恐ろしいものでした。なぜ朗読会の舞台が「闇鍋」なのかが、ここにきて大きな意味を持ってくるのです。

テンポが良かったので、思ったほど「イヤーな気分」にはならなかったですね。それにしてもどうして、「イヤミス」の作家は女性が多いのでしょう。本書に登場するのが女生徒ばかりだったことも、きっと必然なのでしょうね。女性の嫉妬や憎悪は恐ろしいものです。

2016/4